日経平均が米国株に比べ上昇しない本当の理由 本当に今の株価は「割安」と言えるのか?

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こうした実体経済(およびそれに伴う企業収益実態)の減速を無視した株高の行き過ぎは、予想PER(株価収益率)の上振れとなって、如実に表れている。S&P500指数の予想PER(今後12カ月間の予想利益ベース、アナリスト予想の平均値、ファクトセット調べ)をみると、17日(金)時点では18.5倍を超えてきている。近年の予想PERのピークが2018年1月の18.7倍で、その後は同年2月以降の株価調整につながったが、今はそのPER水準に近い。

「米中合意」と「金余り」が今の相場を支えている?

ところが、株価の割高さがどんどん拡大しているため、「実は、企業収益が悪くても株価が上がって当然、といった何らかの要因が働いていて、足元の株高は正当と考えられるのではないか」と唱える向きが増えている。

株価の勢いが、専門家や投資家を圧倒し、それが楽観を正当化する心理を引き起こしてしまっているのだろう、と解釈しているが、そうした「正当化論」としてよく挙げられているものが、米中通商交渉の進展と、「金余り説」だ。

米中通商交渉については、「部分合意」に達したが、それを第1弾とすれば、第2弾はないだろう。というのは、今後の課題である、中国政府による巨額の産業補助金などの「構造問題」については、米中間の隔たりが大きいためだ。

ということは、今回の部分合意で、好材料出尽くしと言える。それどころか、今回の部分合意自体が怪しい。中国はアメリカからの輸入をほぼ1.5倍にすることを求められているわけだが、「そんなことはできるはずがない」との声が、中国側から聞こえてくる。それは理にかなった考えだと言える。中国経済が1.5倍になり、中国の国民所得が1.5倍になれば、容易にアメリカから1.5倍の金額の製品やサービスを購入できるだろうが、そんなことはありえない。

トランプ政権は、中国が購入目標を達成できなければ、追加関税の追加路線に復するような姿勢を示しており、とすれば、すぐではないが、部分合意が後退する局面があるだろう。

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