“原発輸出”最前線のベトナムの村を歩く ズン首相「着工延期」発言のなぜ
「着工2020年に延期」飛び出した首相発言
ベトナムは旧正月を祝う国だ。今年の元旦は1月31日だったが、町に慌ただしさも漂い始めた1月15日、原発政策に触れたグエン・タン・ズン首相の発言が国内外の注目を集めた。
発言は国営石油会社ペトロ・ベトナム(PVN)の会合でのもの。ズン首相はPVN側の出席者を前に、火力発電用の燃料を十分確保するように指示を出し、理由として次のように述べた。
「原発の着工が2020年にずれ込む可能性がある。原発は最高水準の安全、効果を確保せねばならず、確保できなければやるべきではない」
2014年着工を目指していた第1原発2基は、日本受注分の第2原発より1年ほど先行した建設計画となっている。ただし、第1原発はやや計画の遅れが指摘されていて、ニントアン省の関係者の間では「完成はロシアより日本のほうが先になる」などの声は出てはいた。
しかし、こうして首相がはっきりと原発計画の延期に言及したのは初めてのことだ。しかも6年という大幅なずれ込みである。第1原発の遅れは、確実に第2原発の計画に影響するとみられる。
ほかにもズン首相の発言は製油所の拡大や、原発の代替エネルギーとして火力発電所用のガスを提示するなど、具体的な内容にまで及んでいる。対外的には突然の延期発言だったものの、それが暫定的な見通しからではないと感じさせる。
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