今後の日経平均株価に「強気予想」をする理由 世界の先進国は次第に「日本化」している

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だが、ここで重要なのは、投資家はそれが良いか悪いかはともかく、今静かに進んでいる「世界のMMT化」によって、株式市場がどちらに動くかを考えれば良いだけだ。

株の量よりもカネの量が多ければ当然株は上がる!このMMT理論が、デフレに近い状態に陥ってしまった世界を救うかもしれない。

実際、アメリカの対GDP比債務残高も今や108%であり、日本の半分にもならないとはいうものの、じりじりと日本化が進んでいる。その意味で、2020年は、FRBとMMT賛同者らしいトランプ大統領との攻防戦に注目したい。ちなみに安倍晋三首相・黒田東彦日銀総裁緒の「アベ・クロ政策」は赤字国債発行も復活させる計画であり、さらなるMMT化の準備は整っているといえよう。

次の「相場の上昇エンジン」は何か?

さて、つぎにこの相場の「上昇エンジン」になるテーマは何だろうか。筆者に言わせればそれはEUVということになる。

EUV(Extreme Ultravioletの略)とは、極端紫外線と呼ばれる非常に短い波長(13.5ナノメートル)の光を用いるリソグラフィ技術(半導体を製造する際、基盤に電子ビームなどで回路パターンを転写する技術)であり、次世代通信規格の5Gを根本で支える微細半導体の製造に欠かせない技術だ。

2020年はいよいよ5Gの時代が本格的に到来するわけだが、この微細半導体なくして実現は出来ないといっても過言ではない。

すでにアベノミクス相場は動き出しているが、この関連銘柄の評価が、2020年日経平均の水準を決める大きな要素の1つになるのではないか。特に昨年の後半は、このEUV技術関連で、東京エレクトロン、アドバンテストなど多くの銘柄が人気化し、昨年は「EUV元年」(ウシオ電機の牛尾治朗会長)とも言われた。だが、まだ日本企業で大きな売り上げが立っているところはない。

すでに海外のメーカーでは一部出荷しているところもあり、これからの日本企業の巻き返しが期待される。とにかく出荷が開始される少なくとも数か月先で、5G関連人気はこれからまだまだ続き、日経平均の高値へのエンジンになって行くと思っている。

なお、その人気持続のバロメーターとして、筆者は新光電工(6967)を観察している。PER(株価収益率)などの株価指標から見れば常識では買えない水準だが、この異常さこそがEUV関連の期待の大きさを示すと思う。まずは全体相場である日経平均が2万4000円を抜けるのを、ゆっくり見守りたい。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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