熟年離婚から3カ月で再婚した63歳のリアル 30年連れ添った伴侶と別れた先にあった幸福

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学さんと出会う前に、素敵な男性と2人も知り合うことができ、親しくなりかけたと澄江さんは振り返る。結婚相談所のカウンセラーの指導に従ってプロフィールと自分を磨き上げた成果だろう。

「1人は私より2歳年上のハンサムな男性でした。服装もとてもオシャレで、私のことを気に入って申し込んでくれたのです。会う約束をすると、30分も前から席に座って私が来るのを待っていてくれる方でした」

しかし、結果的に澄江さんは彼を「お断り」する。澄江さんの前にしばらくお付き合いした女性が別れた前妻に似ていた話などをされて、「この人は愛情が深すぎて私には重すぎる」と感じたからだ。

もう1人は、2歳年下の職人さん。会うたびに会話が弾み、このまま先に進もうかと澄江さんは考えていた。しかし、彼は先輩からの誘いを断れず、その飲み会を優先してしまうことが続いた。先輩が好きなホステスが店を辞めるので送別会、といった内容だ。だからといって彼を嫌いになったわけではないが、「気が短い」澄江さんはほかの候補に目を向け始める。その人こそが8番目にお見合いをした学さんだ。

夫婦が最終的に結婚生活に求めるものとは

学さんはどんな人なのですか、と問いかけても澄江さんは褒めることはしない。むしろ、「ちょっと上から目線」「片付けができない」「やたらに元気で出かけるのが好きすぎるので私はゴロゴロできない」などの批判的な言葉が並ぶ。すでに身内なので、妻として謙遜をしているのだろうか。再婚してよかった、とは感じているんですよね?

「もちろん! 将来の不安がなくなりました。毎日一緒にいるのでどちらかが倒れたときも大丈夫でしょう。金銭的にも年金だけで普通のサラリーマンぐらいの収入があります」

学さんは不動産も少し持っているので、その収入が入ると5000円ぐらいの贅沢なランチを2人で楽しんでいる。高校を出てから40年以上、ずっと働いてきた澄江さんだが、今は2人分の家事をすればいいだけ。好きな庭いじりを存分にやることもできている。

「主人は母親が亡くなってから入院したこともあり、5年間ぐらい婚活していたそうです。自分の世話をしてくれる人を探していたのでしょう。でも、とても元気な人なので私のほうが先に倒れるかもしれません。『そのときはあなたに私の世話をしてもらうよ』と言っています。主人は『それだけはやめてくれ!』と叫んでいます」

かつては古風な仕事人間だったという学さんも、定年後は穏やかで丸い人柄になったようだ。澄江さんと由里さんに言わせると「諦めの境地」だ。

「彼は素朴な人なので、私がズケズケ言っても『はーい』と返事をしてくれます。部屋の片付けをしたら?と言うと、『はーい。考えとく』です(笑)」

やたらに元気なところは前夫の正晴さんと共通している。自分はそういう男性に心ひかれる傾向があるのかもしれない、と澄江さんは苦笑する。ただし、大きな違いがある。学さんは聞く耳を持っていることだ。

こちらの意見をすべて取り入れる必要はない。聞き流してくれてもいい。でも、「3倍返しの反論」などはせず、とりあえずウンウンと聞いてほしいのだ。夫婦が最終的に結婚生活に求めるものは、安心と「しゃべり相手」なのかもしれない。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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