正晴さんは澄江さん以上に激しい性格で弁もたつ男性のようだ。自分の思いどおりに物事を進めないと気が済まない。何か意見されると3倍返しで反論をする。由里さんが中学校2年生のとき、急に「田舎暮らしをする。子どもたちも自然の中で育ったほうがいい」と宣言。家族の意見は一切聞かずに縁もゆかりのない関東地方の僻地へ移住を決行。そのせいで由里さんは進学する高校を選ぶことができなかった。
「いわゆるモラハラ夫で、結婚して何年経っても勝手なところはまったく直りませんでした。私が働きすぎで体を壊したこともわからない人なのです。次女が高校に上がった頃、老後を2人で暮らすのは無理だと思って家を出ました」
今から10年前の出来事だ。しばらくは由里さんとの仲良し姉妹のような2人暮らしを満喫していたが、由里さんを「お嫁に出した」後は気が抜けてしまい、体調を悪化させてしまった。長年の疲れが出たのかもしれない。
「娘の記事で『あなたがお嫁にいかないと私が再婚できない」と私が言ったとありましたが、それは冗談ですよ。由里を嫁に出してホッとしましたが、私は60歳を過ぎて再婚する気なんてありませんでした。でも、体がなかなか治らずに不安になったんです。同僚から結婚相談所を紹介してもらい、やるだけやってみることにしました」
体調が治らず不安になり、再婚にむけ結婚相談所へ
その結婚相談所は40代女性が1人で運営しており、幸運なことに澄江さんと意気投合。見た目に関して具体的な指導を受けても素直に聞くことができた。
「提携の美容室で髪を切ってもらい、貸していただいた服を着て、プロフィール写真を撮りました。持ち上げてもらうと女は輝いちゃうんですね(笑)。
自分が好きな服と自分に似合う服は違うことも知りました。選んでもらったブラウスはビビッドなデザインで気が引けたのですが、周囲は『とても似合う』と言ってくれて、それを着て撮った写真を主人(学さん)も気に入ってお見合いを申し込んでくれたそうです。8万円ほどの費用は私には安くありませんでした。でも、プロにお願いしてよかったと思います」
お見合いに関しては、カウンセラーは「場数を踏むことが大事なので、あまり考えすぎずに直感で申し込んで」と軽いアドバイス。ただし、60代の澄江さんにはいくつか条件があった。
「後妻としてのトラブルは避けたいので、子どもがいない人を望みました。私には子どもがいるのでずうずうしいのですが……。お金も大事です。年金で困らずに生活していける人を希望しました」
実際にお見合いを始めてみると、初対面の人と2時間会話するだけでも精神的にヘトヘトになることに気づいた。若い人のように1日のうちに3人とお見合いし、100人以上と会ってから決める、なんて自分にはできない。
「100人会っても完璧な人などは見つからないでしょう。基本的な条件が合う人と10人までお見合いして、フィーリングが合えば結婚しようと思いました」
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