プログラミング学ぶ社会人が急増している事情 ITをより活用できる能力があれば幅が広がる

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「TECH:CAMP イナズマ」ではメンターが待機し、受講者は不明点をいつでも質問できる(写真は昨年12月30日の様子、撮影:尾形 文繁)

経営層がプログラミングを学ぶメリットも大きい。物流会社セイノースーパーエクスプレス執行役員の山之内大志氏(51歳)は、昨夏にイナズマを受講。「今までは、システムの開発側に『できない』と言われると、黙るしかなかった。受講後はエンジニアの言うことがよりわかるようになり、彼らへの説明の仕方も変わった」という。

社員にプログラミングを学ばせる企業も出てきた。大手総合商社の伊藤忠商事は2017年度から研修を実施している。「システムベンダーなどと適切に協働するための知識を習得してもらいたい。社員自らコードを書く場面は考えづらいが、プログラミングの概念やWebアプリの開発工程への一歩踏み込んだ理解を通じ、デジタルトランスフォーメーション関連の取り組みの迅速化を進めたい」(人材開発室長の清水淳氏)。

今年4月から小学校で必修化

今やほとんどの産業で、ITはビジネスのベースになっている。IT関連市場は拡大が続き、プログラマーなどの人材は足りない。2030年には約45万人不足すると予測されている。プログラミングを学び、ITをより活用できる能力を身に付ければ、仕事の幅が広がる。

子どもにとっても重要だ。今年4月から小学校で必修になる。ただしプログラミング言語を教えるわけではない。主な狙いは「プログラミング的思考」を身に付けさせること。コンピューターは順序立てて過不足なく命令しないと、思うように動かない。用意された命令をどう組み合わせるかを試行錯誤させ、論理的に考える力を養う。

プログラミング教育は、創造力や自ら学ぶ意欲を育むことにも効果があるとされる。保護者の関心も高く、需要拡大を受けてプログラミング教室は増加の一途だ。プログラミング教室の検索サイト「コエテコ」と船井総合研究所の共同調査によると、2018年の国内教室数は4457と2013年比で6倍。2023年に1万を超えると予測される。

プログラミングは、インターネットにつながったパソコンがあればすぐに始められる。「Scratch(スクラッチ)」のように、難しい言語を覚える必要がなく、無料で楽しめるものもある。

文系出身でも恐れることはない。IT企業におけるIT技術者の約3割は、大学の文系学部出身者だ。案ずるより産むがやすし。プログラミングの世界に早速飛び込んでみよう。

『週刊東洋経済』1月18日号(1月14日発売)の特集は「今年こそ始めるプログラミング」です。
中島 順一郎 東洋経済 記者

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なかしま じゅんいちろう / Junichiro Nakashima

1981年鹿児島県生まれ。2005年、早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、東洋経済新報社入社。ガラス・セメント、エレクトロニクス、放送などの業界を担当。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などを経て、2020年10月より『東洋経済オンライン』編集部に所属

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