世界最大・最強のアメリカ市場を見逃すな マネックス証券・山岸大統氏に聞く(上)
――日本株投資をしている人も、結局はアメリカの動向を見ながら、投資をしています。
その通りですね。私たちも日本株投資をやめて米国株投資を、などと言っているのではありません。日本の株式市場は、残念ながらグローバルな視点から見ると「大きなローカルマーケット」の一角ですが、もちろん、自国の企業に投資する上では最良の環境ですし、情報面でも海外投資家と比較して優位性が持てるメリットもあります。地元の美味しい料理を出す名店は、地元の人が一番詳しいのと同じです。
しかしながら、世界のマーケットに影響を与えるニューヨーク市場の動きを追うのなら、やはり日本株だけではなく米国株も投資対象に加えた方がいい。
米国株を投資ポートフォリオに加えなければ、そのこと自体がリスクであるとも言えるかもしれません。当社でもその点で米国株には注力していまして、3月10日以降、米国株の5夜連続の集中セミナーを準備しています。
もう少し詳しく見てみましょう。2014年1月末時点の世界のETP(上場投資信託類)の残高約230兆円のうち、4割強が米国株で運用されています。さらに、運用されている米国株のうち大型株(時価総額100億ドル以上)が約半数を占めています。
1ドル100円換算で100億ドルは1兆円となりますが、アベノミクスで増えているとはいえ、日本の上場企業で時価総額1兆円以上の企業は94社、5兆円以上の企業となると、10社程度しかありません。ところがアメリカには時価総額100億ドル以上の企業が400社以上、500億ドル以上の企業も100社近く上場しているのです。(3月3日時点)。
このように圧倒的な時価総額を持つアメリカの株式市場で、かつ、日本の大型株よりも多くの企業から投資対象を見つける方が、より合理的であると考えられます。株式投資となると“ホームカントリーバイアス”が掛かってしまい、株式投資=日本株と誰もが考えがちですが、いま日本で株価が好調な企業も、よく見ればグローバル企業が多い。となれば投資家の皆さんが日本企業の業績見通しを立てるときも海外動向、とくに米国の経済動向を気にするでしょう。これと同じ発想で米国企業に着目して投資対象に加えることは、それほど難しい話ではないと思いませんか。