30歳を過ぎて“真剣に結婚できる相手を探そう”と思うようになり、友達や会社の上司や周りの人たちに、「誰かいい人がいたら紹介してほしい」と触れ回った。知り合いから紹介される人ならば、ある程度素性がわかるから安心感もある。また、誘われれば合コンに出かけ、自分でも合コンを企画し、出会いの場を以前よりも多く作るようにした。
「でも人の紹介って当てにはならないし、数が出会えないんですよね。1人の人が3人も4人も紹介してくれるわけではないから。あと、合コンはただの飲み会になってしまう。中には既婚者の方も参加したりするので、なかなかいい出会いがありませんでした」
銀座コリドー街にも、週末に出かけていくようになった。ここは数年前から、サラリーマンやOLのナンパの聖地と言われているところだ。
「場所柄、銀行、証券、広告代理店と、客層はいいんです。というか、自分の会社の名刺で釣れると思う男性たちは、真っ先に会社の名刺を出してくる。だけど、一流会社の人ほどその後連絡を取り合っても、1回か2回食事をすると、その先が続かない。そして、どういうわけか皆さん、食事の後にホテルに誘ってくるので、まじめに彼女を探している人は、少なかったんだなと思いました」
こんなことを続けているうちに、33歳になってしまった。
33歳を過ぎると既婚者からの誘いが増えた
「33歳になってからは、さらに恋愛の景色が変わった気がしました。20代の頃に声をかけてくるのは、独身男性。でも、33歳を過ぎたあたりから、既婚者から食事に誘われることも多くなって、その後はホテルに誘われる。結婚対象として見られるのではなくて、明らかに遊び目的が多くなりました」
会社の忘年会の日、週末を利用して韓国旅行に行くことを計画していた由美子は、翌朝のフライトが早かったので、空港の近くにホテルを取っていた。
それを知っていた同じ課の40代の課長が、酔いに任せて隣の席に座り、「今夜は大谷さんと、ゆっくり飲みたいなぁ」と体をすり寄せてきた。上司なのでむげにもできず、適当にあしらっていたのだが、帰り際、課長がタクシーを止め、そこにまずは由美子を乗せようとしてきた。
「私は、1人で帰れるので大丈夫です」
するりと課長の腕を振りほどき、小走りで逃げ去ったという。
「もうセクハラもいいところですよ。ただ、私も子どもじゃないし、酔っ払ってのことだから、それをもっと上の人に言いつけたりはしませんでしたけど」
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