新駅舎に移転「銀座線渋谷駅」は便利になったか 改札2カ所、乗り換えの動線はシンプルに

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もともとの銀座線渋谷駅は、周辺の通路などのわかりにくさも加わり、「迷宮のようだ」といわれていた。この点について山村社長はこう釈明した。

「旧駅舎は改札口の幅やホームが狭く、上下の移動も多くそのほとんどが階段で、安全やサービスの面で大きな課題を抱えていた。しかし、ホームを百貨店の建物内に設置している構造から抜本的に手を入れることが難しく、大きな改修工事は行われなかった」

それと比較すれば、新しい駅舎は実にシンプルだ。2009年から3度にわたる線路の切り替えを経て、駅の位置を百貨店の中から表参道駅側に130m移動させた。この移動で、改札口は駅の両端、JR渋谷駅側の「スクランブルスクエア方面改札」と、渋谷ヒカリエ側の「明治通り方面改札」の2カ所に集約された。もちろん駅構内はバリアフリーだ。

「渋谷スクランブルスクエア側の改札口は『アーバンコア』と呼ばれる各鉄道路線の結節点と直結し、アーバンコアから各路線の駅に通じる動線設計になっている。各路線のすべての工事が完成すると、縦に横に延びてわかりにくいとされる渋谷駅全体の移動のしにくさの改善につながる」と、山村社長も期待する。

これからも工事は続く

課題は各鉄道事業者の連携だ。現状では、銀座線の「スクランブルスクエア方面改札」とJR渋谷駅の3階コンコースとの間には、同じ3階でも高低差がある。銀座線の駅構内はフラットだが、JRとの乗り換えは階段などを通らざるを得ない。駅が抜けた後の東急百貨店西館は2020年3月まで営業を続けた後に取り壊される予定だが、JRとの動線がフラットになるかは未定だ。

五輪開催に向けて、銀座線渋谷駅ではこれからもホーム階の表示新設や仮設ベンチの置き換えなどが進む。新駅舎の土木工事を進めた改良建設部の白子慎介所長は、移設工事を終えたことに「オリンピックまでに新しい駅を供用させたいということで一生懸命やってきた。まずは間に合ったということで正直ほっとしている」と安堵の表情を浮かべた。

だが、それもつかの間。五輪閉会後も周辺の再開発は続き、銀座線の工事もまだ続く。今後も課題は待ち構えている。

中島 みなみ 記者

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なかじま みなみ / Minami Nakajima

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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