「国公立大医学部」合格者が多い高校ランキング 1位東海、2位灘…地方の私立中高一貫校強い
ランキングを通して見えてくるのは、上位に首都圏の進学校が少なく、関西と地方の学校が多いことだ。首都圏1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)の学校でベスト20に入ったのは、5位の開成と14位の桜蔭の2校。
関西に医学部合格者の多い学校が多いのは、関西2府4県(大阪、京都、滋賀、兵庫、奈良、和歌山)に、医学部を持つ国公立大学が8大学と多いことが要因のひとつといえる。また、地方の学校に多いのは、優秀な生徒が就職できる職業が限られ、医師を目指す傾向が強いことが挙げられる。
前出の坂口主幹研究員は、首都圏に多くの合格者を出す学校が少ない理由について、「地方では、医学部志望者を教えられる教員が揃う学校が少ないため、優秀な生徒が特定の学校に集中する。そのため、合格実績も特定の学校に集中する。人口が多い首都圏の学校がランキング上位に少ないのは、医学部に入れる学校のすそ野が広く、優秀な生徒が分散するため」と話す。
首都圏1都3県と関西2府4県の国公立大医学部の合格者数を比較すると大きな差はない。しかし、学校数に注目すると、2019年に国公立大医学部合格者が1人でもいた学校は、関西2府4県の127校に対し、首都圏1都3県の学校は175校に上る。
地方は医学部合格校が集中する傾向
首都圏で多くの国公立大合格者を出す学校が少ないのは、地方の国公立大医学部が地域枠を設け、一般入試の定員が少なくなっている影響もある。
また、東京大学を筆頭に、千葉大学、東京医科歯科大学など首都圏の医学部は、国公立大医学部の中でも難易度が高い学校が多い。そのため、かつては地方の大学を受験する首都圏の受験生が多くいたが、地域枠の拡大で一般入試の定員が減っていることもあり、敬遠する傾向が見られる。
その一方で、首都圏の医学部志望者の受け皿になっているのが私立大医学部だ。
「首都圏には私立大医学部が数多くある。順天堂大学や日本医科大学など、近年学費を値下げする大学も多く、一般的な家庭の受験生の視野に入りやすくなっていることも、国公立大の医学部合格者が集中する学校が少ない一因」(坂口主幹研究員)
国公立大医学部の合格者数ランキングを検証する際、地域性という視点を加える必要がある、ということのようだ。
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