Facebookの通貨「リブラ」に世界が震撼した理由

価格変動しにくい仮想通貨は何を目指すのか

例えば店舗が顧客からビットコインで商品の代金を受け取ったとしても、それを円に換えるまでには相応の時間がかかる。したがって、もしもその間にビットコインの価格が円に対して下落すれば、損失が生じることになる。だとすれば、ビットコインでの支払いを受け入れる店舗が広がらないのはむしろ当然の話だ。

一方、仮想通貨のように投資対象、または価値の貯蔵手段として利用されることを最初から意図していないのがリブラだ。もっぱら支払い手段として利用されることを狙って発行されるため、価格の安定性に最大限の配慮がなされた設計になっているのである。

リブラはステーブルコインの代表格に

リブラの価値は、主要法定通貨のバスケットと連動して決まる仕組みだ。通貨のバスケットとは、ウェイト付けされた複数通貨のレートを加重平均して算出した価格であり、それと連動させるのである。主要法定通貨は、ドル、ユーロ、円、ポンドなどになろう。
そのような設計としたのは、世界中どこでも使われる「グローバル通貨」を目指したからに他ならない。(22ページより)

日本について考えてみよう。日本国内でリブラが利用された場合、電子マネーやスマートフォン決済は、全て円建てで取引される。円に対する価格変動のリスクはまったく生じないわけだ。だが、主要法定通貨バスケットと連動して価値が決まるリブラの場合、対円レートはつねに変動する。

とはいえリブラの価値は複数通貨の価値の変動に応じて変化するのだから、円とドルなど他の単一通貨との間の交換レートの変動よりも小さくなる。ここが、主要通貨バスケットと連動して価値が決まるリブラの魅力だ。

しかもリブラと円との交換レートは、ビットコインと円との交換レートの変動と比較すれば格段に小さい。したがってユーザーは、価値の変動をあまり気にすることなくリブラを保有し、それを買い物に使えるのだ。

価格変動が大きいゆえに支払い手段として使いにくいという仮想通貨の欠点を軽減するために、法定通貨との間の価格変動を小さくする仮想通貨は既に多く生み出されている。それらは、ステーブルコインと言われている。リブラが発行されれば、ステーブルコインの代表格となるだろう。(23ページより)
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