街中に続々登場「シェアサイクル」の大きな課題

自転車活用が進む中国・台湾から見る今後

ofoやMobikeは資金調達に苦労していた。もちろんサービスは広がっていっていたが、ビジネスモデルを生み出せなかったのだ。さらにメンテナンスの問題や地方政府の台数規制が追い打ちをかけた。

中国・珠海市で道沿いに大量に置かれたシェアサイクル。近年台数を増やしているDiDiのシェアサイクル「Didibike(青桔単車)」だ(筆者撮影)

そこで業界再編が起きた。ofoは2018年にほぼ破産状態に陥り、デポジット返済をめぐって大きなトラブルとなった。Mobikeはフードデリバリーで急成長する美団点評に買収され、その後事業縮小となった。

直近ではアリババグループから資金提供を受けた青のHellobike(哈羅単車)や自動車の配車アプリを起点に成長したDiDiがBluegogoを買収して生まれたDidibike(青桔単車)が目立つ。とくにHellobikeは地方都市で大きくシェアを伸ばしてきたのがここにきて強みとなっている。

中国・広州の路側に駐輪されたシェアサイクル。さまざまなブランドのカラーが見られる(筆者撮影)

こうした中国の状況に対し、少し違ったシェアサイクルの展開を見せているのが台湾だ。台湾では台北で2009年にサービスを開始し、ジャイアントの自転車を利用した「YouBike」が北西部を中心に展開している。また、台湾第2の都市、高雄では同市の地下鉄を運行する高雄メトロが運営する「City Bike」がある。

台湾のシェアサイクルの特徴は?

台湾のシェアサイクルで特徴的なのは、行政の積極的な関与だ。台北も高雄も行政が主体となってシェアサイクルを整備し、民間に運営を行わせているほか、必要に応じて補助金も出している。

YouBikeのポート。写真の場所は地下鉄駅の上で出口からすぐのところにある(筆者撮影)

そして乗り捨てではなく、シェアサイクル専用の駐輪場(ポート)を設置している。しかも駅前やデパート、ショッピングモールの横など需要が大きそうな場所に積極的にポートを配置している。決済はアプリではなく、ICカードやクレジットカードで行う。そのため、海外からの旅行者でも比較的利用しやすい。筆者も台湾へ行ったときはまちを見て回るためによく利用している。

また、しっかりと需要や駐輪台数を見て自転車の再配置を行っている印象が強い。そのためか、日本のシェアサイクルよりも回転率(1日1台当たりの利用回数)が高い傾向にある。しかし、台湾のシェアサイクルは決してビジネスのためだけに行っているという印象は受けない。

どちらかといえば、鉄道やバスだけではカバーできない移動需要をしっかりつかみ、鉄道やバスと組み合わせてもらうことでまちを快適に移動してもらおうという意識が見える。台湾ではバイクの利用が多いこともあり、シェアサイクルという「手段」を通じて環境負荷の低いまちをつくろうとしているようだ。

中国と台湾のシェアサイクル事情を比較すると、大きな違いとしてはポートを持たないものが主流になっている中国のシェアサイクルに対し、台湾のシェアサイクルはポートを持つものが主流だ。そして中国はビジネスベースで展開し、台湾はまちづくりベースで展開している。

次ページ日本のシェアサイクルを見ると…
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