手土産で1位を獲った「バターバトラー」の正体 スイスの発酵バターを使った「フィナンシェ」

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味とともに、強い印象を残すのがブルーとイエローの鮮烈かつ爽やかなブランドカラー、そして執事のキャラクターだ。

パッケージがおしゃれで目を引き、とくに女性に好評。「どこで買ったの?」と話題になりやすい。珍しい色合い、デザインのため、ブランド名がわからなくても、ネットなどで探しやすいという利点もある。

パッケージなどに印刷されている、恭しく頭を下げる執事には、「(バターという)貴重なものを召し上がっていただく」という意味が込められている。

遠方まで運ばれていく土産菓子にあっては、おいしさとともに「物珍しさ」も大きな付加価値となる。その意味で、インパクトがあって珍しいバターバトラーのパッケージは強みとなっただろう。

「おみやげグランプリ」で総合グランプリを獲得した当時は新宿の店舗のみだったが、あっという間に全国に存在が知られるようになったのも、そのためではないだろうか。もちろん、新宿が高速バスのターミナル駅として、国内外両面とのアクセスの利便性が高いことも大きな理由となっている。

「ブランドストーリー」の重要な役割

また阪本氏によると、販売拡大においては、ブランドストーリーも重要な役割を果たしているという。

「ブランドストーリーが意味を持つのは、お客様に対してだけではありません。工場で商品をつくる人、販売する人、プロモーションを企画する人、さまざまな人が力を合わせて商品を世の中に広げています。しっかりしたブランドストーリーは、自分の仕事に誇りを持つことであったり、さまざまな人から構成される、メンバー間での信頼関係を構築するのに役立つわけです」(阪本氏)

前を通りかかる客にはとにかく試食をすすめ、ふんだんに食べてもらう「超試食販売」を実施(筆者撮影)

つまり、最近よく耳にするようになった、「チームビルディング」の一種ということだろうか。

その他売場づくりでは「超試食販売」という独自の手法を採用しているそうだ。新宿の店舗の初代店長を務めた長部竜人氏は、次のように説明する。

「試食販売をお店のスタッフ全員で行います。一般的に、試食を遠慮してしまう、という方が多いと思うのですが、売場の前を通る方はみんなお客様という意識で、とにかくおすすめする。

そして、いくつでも、たくさん食べてもらいます。お皿に盛っているフィナンシェからバターの香りがしますので、引き寄せられてついつい手が伸びるというお客様も多いようです」(長部氏)

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