手土産で1位を獲った「バターバトラー」の正体 スイスの発酵バターを使った「フィナンシェ」

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おしゃれかつインパクトの強いパッケージも、土産菓子としての付加価値をアップしている(筆者撮影)

ブランド開発においては「ストーリー性」を重視。例えば、2011年、東日本大震災の年に検討を始めた「ザ・メープルマニア」は、“絆”をキーワードに、古きよきアメリカの家族をテーマとした企画開発を行った。

ストーリーを担う主人公はいたずらとメープルのお菓子が大好きな男の子。食べる人に、子どもの頃のワクワクする気持ちを思い出してほしいという気持ちを込めているという。

そのほか、「東京ミルクチーズ工場」「フランセ」、そして2016年にスタートしたバターバトラーなどの20ブランドを展開。菓子の製造についても、2017年より自社製造工場で行うようになっている。

「バター不足」が商品開発のきっかけ

では、バターバトラーはどのような物語から生まれたのだろうか。代表取締役社長の阪本良一氏によると、「企業理念の原点に立ち戻ったことから発想が生まれた」と言う。

日本ではバター不足という現象がしばしば起こるが、バターバトラーのアイデアがひらめいたのも、そんな2015年頃のことだった。

「戦後に事業をスタートする際、食料が不足している世の中で『甘いものを食べて喜んでもらいたい』と、芋あめを商品にしました。その発想で、バターが不足している時期だからこそ、バターを主役にしたスイーツにしよう、と思いつきました」(阪本氏)

実はすでにNEWoManの開業に向けて、まったく別のブランドの準備が進んでいた時期だったが、急遽、方向転換を行いグループ総力で「バター探し」に奔走したという。

そして、ついにブランドを牽引するにふさわしい、スイスの発酵バターにめぐり会った。

「ほかのバターと違うのが、香りの立ち方です。食べたときに、バターの風味がダイレクトに伝わって非常に印象的です。そのバターを最もよい形で味わっていただくために、材料の配合、形、焼成温度や時間などを、試行錯誤しながら追求していきました」(阪本氏)

バターへのこだわりとともに大切にしたのが、「プレミアムギフトスイーツ」というコンセプトだ。バターバトラーのフィナンシェは手にとってみるとわかるが、指先で軽くつまんで、2口ぐらいで食べられるぐらいの大きさ。つまり、「本当においしいものを少しだけ」というのが、プレミアムギフトスイーツの定義なのだそうだ。

「また、実際に店頭に立ってお客様の表情を観察していますと、自分のものを買うとき、人は無表情になる。お金が出ていくからです。でも、誰かにあげるものや、自分へのご褒美として何かを買うときは、笑顔になるんですよ。プレミアムギフトスイーツも、笑顔で選んでもらえるお菓子をイメージしています」(阪本氏)

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