三菱「新型デリカD:5」発売から1年後の通信簿 賛否あるデザインはユーザーにどう映ったか

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「発売時の目標台数はほぼ達成しております。(販売の結果に対して)満足ゆくものかについては、目標達成はしておりますが、これからもより多くのお客さまに、お乗りいただきたいと思っています」とは三菱自動車の広報のコメントだ。

併売される旧モデルのガソリン車(写真:三菱自動車)

また、「ユーザー層は、旧型と変わらず、30~40代の子育て層が多いのですが、安全装備の充実および質感向上により、50~60代の層の割合も増えています」とのこと。

面白いのが新型と旧型の販売比率が「新型89:旧型11」というところ。新型と旧型はエンジンが違うだけでなく、価格も大きく異なる。新型が約384万~422万円のところ旧型は約245万~322万円と、新旧で150万円近い価格差がある。それでも人気は圧倒的に新型が高い。価格ではなく、内容でデリカD:5は選ばれているのだ。

デビューから12年を過ぎての結果としては上々

デリカD:5という名称は、デリカ・シリーズの第5世代と言う意味合いを含んでいる。そして初代のデリカのデビューは1969年、つまりデリカ・シリーズは50年も続く、三菱自動車きっての老舗モデルであるのだ。50年で5世代ということは、1世代平均で10年となる。実際にデリカD:5のデビューは2007年。なんと、現行の「デリカD:5」は12年も前に登場したモデルなのである。

それでも2019年4~9月のブランド通称名別販売ランキングでは39位。同じミニバンでは、その下に「オデッセイ(40位)」「ハイエースワゴン(44位)」「エスティマ(48位)」が存在する。

また、三菱車で50位以内に入っているのは、39位のデリカD:5のほか、50位の「エクリプスクロス」のみ。デリカD:5 は、今も三菱自動車きっての稼ぎ頭というわけだ。

デビューから12年を過ぎても高い人気を維持できるのは、「オフロード走行可能なミニバン」という唯一無二の個性と、ブラッシュアップの手を緩めない三菱自動車の努力だと言える。今回の新型登場から1年の振り返りとしては、国内販売の主力という重責を担う上々の結果だろう。また、50~60代の新しい購入層を開拓したことは、新型デリカD:5の大きな功績だ。

今回のビッグマイナーチェンジによって、デリカD:5 のイメージはうまく一新できたと言える。これによりモデルライフは、さらに3年以上は延長されるのではないだろうか。これも、今回の新型の成果の1つだろう。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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