育児休業から復帰の社員をどこに配属する? プロに聞く!人事労務Q&A

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原職または原職相当に復帰させることが望ましいですが、義務づけているわけではありません。たとえば、①育児休業中に会社の組織変更で所属部署が廃止、②経営戦略で人員配置が見直された、③短時間勤務では対応できない、④時間外勤務ができないなどから原職又は原職相当に復帰が不可能な場合があります。このような場合は、配置転換をすることが許されるとされています。

不利益取り扱いの禁止

法第10条で「事業主は、育児休業をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と定めています。

さらに指針第2・11(2)ヌで「不利益な配置の変更を行うこと」、指針第2・11(3)ホで「配置の変更前後の賃金その他の労働条件、通勤事情、当人の将来に及ぼす影響等諸般の事情について総合的に比較考量の上、判断すべきものであるが、例えば、通常の人事異動のルールからは十分に説明できない職務又は就業の場所の変更を行うことにより、当該労働者に相当程度経済的又は精神的な不利益を生じさせることは該当する」と不利益取り扱いを明確に述べています。

育児休業復帰後の配置転換のトラブル防止

法第21条で「育児休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項」をあらかじめ周知させるための措置を講ずるよう努めなければならないと定めています。

○配置転換の可能性がある旨を事前に周知

事業主は、育児休業申出後速やかに書面の交付をするよう努めなければなりませんので、「育児休業取扱通知書」で明示します。
また、育児・介護休業規程でも記載し労働者に周知します。

○「育児休業取扱通知書」に明示の仕方

育児休業からの復帰が1年先・1年半先では会社組織の状況も不透明な状況です。たとえば、原職復帰できると期待を持たせたが、所属部署の人員削減で原職に復帰させられないときはトラブルになることがあります。

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