東急世田谷線、意外に「混んでいる」のはなぜ? のんびりだが通勤・通学の足、観光スポットも
小田急線の豪徳寺駅は、各駅停車しか停まらない。列車間隔は日中10分に1本だ。対して、世田谷線は6分間隔で走るから、小田急の列車到着のタイミングによって乗換客で混む列車と混まない列車があるらしい。そこまで見越して世田谷線に乗るほどの混雑でもないが、世田谷線の1つの特徴なのだろう。
そして次は宮の坂。駅に隣接する区民センターにはかつて世田谷線を走り、江ノ電に譲渡されたのちに里帰りを果たした古い車両が展示されている。この古い車両も見ものなのだが、やはりここに来たら豪徳寺に行かねばならないだろう。小田急線にも豪徳寺駅があるが、最寄り駅は世田谷線の宮の坂駅だ。
豪徳寺はかつての彦根藩主井伊家にゆかりの寺である。2代藩主の井伊直孝が鷹狩の折に小さな寺の前を通りかかると、手招きする猫がいたので立ち寄った。そうすると突然、あたりが雷雨となったが、直孝は雨宿りすることができた。そしてこれを機に直孝が寺を整備して菩提寺としたという。
これが招き猫伝説の発祥で(ちなみにあの“ひこにゃん”もこの招き猫伝説にちなんだものだ)、今も豪徳寺は招猫観音を祀る招猫殿があって、その横には無数の招福猫児が奉納されている。この様子がこれまた圧巻で、たくさんの観光客が訪れるスポットになっているのだ。
豪徳寺の招き猫が車両に
「やはり世田谷線でいちばんのスポットは豪徳寺ですね。うちでも招き猫電車を走らせていまして、ずいぶん人気になっているんです」
こう話してくれたのは、車庫が併設されている世田谷線運行の要衝・上町駅で出迎えてくれた東急電鉄世田谷線管区長の佐藤仁志さん。世田谷線の車両は10編成あってすべて車体のカラーリングが異なっているが、その1つが「招き猫電車」だ。
玉電110周年(もともと世田谷線は玉川電気鉄道の一部であった)を記念して2017年9月から運行したのがはじまり。約1年でいったん運行を終えたが、今年5月から、改めて世田谷線50周年記念としてマイナーチェンジをしたうえで「幸福の招き猫電車」として走っている。
「昔は黄色いラッピングの電車がラッキーカラーみたいに言われていたんですけどね、今はすっかり招き猫電車がいちばんになりました」(佐藤さん)
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