東急世田谷線、意外に「混んでいる」のはなぜ? のんびりだが通勤・通学の足、観光スポットも

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ちなみに、世田谷線の電車は最高速度時速40km。実にのんびりと走る電車だ。途中に踏切が38カ所もあり、運転士としては何かと気を使うことが多いという。その中でも若林の踏切は格段の注意を要する。

世田谷線管区長の佐藤仁志さん(左)と首席助役の室井健治さん(筆者撮影)

「遮断機がないので自転車の直前横断とかもありますし……。もちろん電車はすぐに停まれる速度で走っているのですが、ヒヤッとします。電車が通るところですから、注意してほしいですね」(室井さん)

急ぐ気持ちはわかるが自転車も安全第一でお願いしたいものだ。いずれにしても、運転士の腕が試される若林の踏切。ここをどう通過するのかは、ぜひとも電車に乗って見守りたいところである。

にぎやかな三軒茶屋

そして西太子堂駅を経て終点の三軒茶屋駅へ。国道246号沿いに多くの飲食店などが集まるごちゃごちゃとしつつもにぎやかな町だ。世田谷線の三軒茶屋駅は246から少し離れたキャロットタワーの真下にあって、屋根がホームを覆う“終着駅スタイル”。かつて、東急玉川線(玉電)が現役だった時代にはそのまま246の道路上に直通していたが、今では田園都市線に乗り換えて渋谷を目指す。

こうして終わった東急世田谷線の旅。全部通して一気に乗っても17分。途中でこまめに下車して沿線を散策しながらでも半日とかからない。沿線にはもっと魅力的なスポットもある。世田谷線管区長・佐藤さんの言う「東京のふるさとのようなのどかな沿線」の旅を、楽しんでみてはいかがだろうか。

のどかな住宅地の中をゆく電車が、雑多な三軒茶屋にやってくるまでの車窓の変化もまた、楽しいところである。

鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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