60歳以降「年金だけで食えない」日本での生き方 資産運用はもちろん大事、スマホも持とう

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他の先進国に比べるととても世界標準とは言いがたいものがある。政府与党が昔から宣言している「年金は100年安心」という言葉を鵜呑みにすることはとてもできない。

現実問題として、2019年は5年に1度の年金制度の見直し「財政再検証」にあたる。ここで発表されたのが、61.7%という所得代替率だが、このまま維持されることは実際にはなさそうだ。

財政検証では、2049年度までの実質成長率がマイナス0.5%だった場合には、夫婦2人の所得代替率は35~37%となり、公的年金制度は事実上崩壊する可能性すらあるとしている。

年金2000万円問題は、現実的に将来のことを考えれば、この程度の預金は必要なのかもしれない、ということだ。

貯蓄がなくても楽しく暮らせる方法はあるのか?

資産防衛のためには、貯蓄していくだけではだめで、今の生活をある程度見直していく必要もある。将来的に、公的年金だけでは食べていけない時代を自覚して、自分の資産を防衛していく必要があるということだ。現実的にどうすればいいのか……。簡単にポイントだけ紹介しておくと次の5点になる。

①分散投資する
②外貨建て資産を増やして海外の金融商品のウェイトを増やしていく
③金や仮想通貨など、金融マーケットの動きとは異なる金融商品を増やす
④金融マーケットの暴落に強い金融商品に投資をしておく
⑤インフレに勝てる資産運用を心がける

大切なことはやはり分散投資と言っていいのかもしれない。もし、資産運用の初心者でこれから勉強するのもしんどいという人は、WelthNaviといった「ロボットアドバイザー」、もしくは「ロボアドバイザー」と呼ばれるAI(人工知能)による資産運用という手もある。

ロボアドバイザーは、あくまでも顧客のニーズに沿った運用を、分散投資を前提として行うもので、世界中のETF(上場投資信託)などに分散投資してくれる。運用能力のはっきりしない人間に任せるよりもAIに任せたほうがひょっとしたら安心かもしれないからだ。

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