60歳以降「年金だけで食えない」日本での生き方

資産運用はもちろん大事、スマホも持とう

一方、自立して生活できる年齢を示す指標に「健康寿命」がある。健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことだが、男性が72.14歳(2016年)、女性が74.79歳(同)となっている。

年金に頼らないで一生働いていこうと考えている人がいるかもしれないが、せいぜいそれも70歳前後までで、後は思うように働けない体になってしまうかもしれない。やはり老後の資金はきちんと蓄えておく必要があるということだ。

「老後2000万円問題」の本質は自己責任?

報告書で話題になった「老後2000万円問題」だが、金融庁が発表したデータは95歳まで夫婦がそろって生き残った場合のシミュレーションであり、実際にそれぞれ男女の平均余命まで夫婦が生きた場合は、そんなに不足することはないはずだ。

総務省の家計調査を使ってシミュレーションすると、65歳の夫婦がそれぞれ平均余命まで生きる場合、最終的な不足額は1132万円程度だと考えられる。むろん、生活レベルはその人の家族構成やライフスタイルにもよるが、あくまでも平均値ではその程度だと考えていいだろう。

ただ残念なことに日本の年金制度は世界的に見ても非常に問題がある。アメリカの大手コンサルティング会社「マーサー」が毎年発表する「グローバル年金指数ランキング(2019年度)」を見ると、日本は37カ国中31位と最下位に近い。将来的に安心できる年金制度とはとても言いがたい。

老齢年金の受給額が、現役世帯の収入に対してどの程度給付されているのかを見る指数に「所得代替率」がある。現役世代の平均賃金に対して、何割の公的年金が給付されているのかを見る数値だが、日本の算出方法は特殊で夫婦2人の標準世帯をベースに算出している。2019年時点で、61.7%という数字が出ているが、実はこれを夫婦の単位ではなく、男性だけ、女性だけで見てみると、その数値は大きく下がる。

夫婦2人の合計金額以外の数値を見ると、OECDが算出したデータでは日本の男性の所得代替率は34.6%(2016年)となっている。日本の現実は、現役世代の3分の1程度の年金しかもらっていないことになる。そういったことも踏まえて、私たちは老後資金を考えていかなければいけないということだ。

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