60歳以降「年金だけで食えない」日本での生き方 資産運用はもちろん大事、スマホも持とう

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現在は、第4次産業革命といわれるようなデジタル化への転換が大きく進んでいる。こうした世の中では、例えば新聞や雑誌、そして映画や音楽、雑誌といったものも、宅配の新聞や書店で売っている雑誌ではなく、そしてCDやDVDを買ったり、レンタルで借りたりするのではなく、スマホやタブレットで無料もしくは格安の定額で楽しむことができる。

いわゆる定額サービス、サブスクリプションを使って節約する方法だ。それだけではなく、人間関係の広がりもスマホであれば大きな可能性を秘めている。碁や将棋、麻雀といったゲームもわざわざ碁会所や雀荘に行かなくても、楽しむことができる。

家にいながらにして世界中の人間たちとゲームができる。山歩きや旅行などもスマホを武器にして歩けば、安全性を保ちつつ、さまざまな可能性が広がってくる。万一、山で遭難しても位置情報を使えば、すぐに助けに来てもらえる可能性が高い。

老後の余暇時間は、ざっと8万時間あるそうだが、高齢者向けのSNSも使い方によっては孤独な老後を過ごさずに済むかもしれない。むろん、自分なりにプライバシー保護などのセキュリティーをきちんとやる必要はあるが、旅行や山登り、ゲームなどを通して同世代の人間たちと楽しむこともできる。そういう意味では、現在の「ICT(通信情報技術)革命」に乗り遅れるという選択肢はないはずだ。スマホを1台持つことで大きな可能性を確保できる。

新聞を20年購読すると支出は100万円超

例えば、宅配で朝夕と新聞を購入すれば、月額4400円(税込)、年額5万2800円、20年間新聞を取り続ければ105万6000円の支出になる。これをスマートニュースといったニュースアプリを使うだけで、貴重な老後資金の支出が105万円減るわけだ。

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現在では、スマートニュースを使えばロイターやブルームバーグ、ニューズウィーク日本版といった海外メディアの情報もチェックすることができる。新聞やテレビの情報だけで老後を過ごすのはかなりもったいない。

NHKはやむをえないにしても、それ以外の有料なメディアは、高齢者になったときに必要なのかどうかわからない。世界最大手のネットフリックス(Netflix)やアマゾンの動画配信サービスを使えば、ケーブルテレビよりもはるかに安価で、良質の動画も楽しめる。

こうした最新の情報通信技術を駆使した老後にするだけで、20年で500万円得するというシミュレーションもある。ひょっとしたら「老後2000万円問題」解決の糸口になるかもしれない。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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