「ふるさと納税」でトクする人、損する人の差 「お得に節税」は可能なのか

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注意点4――ワンストップ特例は確定申告をすると無効になる

4つ目は、ワンストップ特例を申請していても、確定申告をすると、その申請自体が無効になってしまうことです。確定申告をするときは、必ずふるさと納税の内容を含めるようにしましょう。そうしておかないと、2000円どころか全額自己負担という結果になってしまいます。漏らさないようにしてください。

ふるさと納税の仕組み

最後に、ふるさと納税の仕組みをより押さえておきたい人に向けて、仕組みを簡単にご説明しておきます。

最初に説明したように、ふるさと納税では、1万円を寄附すると、寄附金控除や住民税の税額控除を受けて、自己負担分2000円を引いた8000円を、自分が支払うべき税金から引いてもらえるようになります。

所得税では、図①のように「寄附金控除額」を計算し、住民税では、図②の算式で控除額が計算されます。この算式を見ると、自己負担額2000円という理由やふるさと納税がおトクな理由がおわかりいただけると思います。

図①
図②

しかし、この計算は正直、難しいと思います。そこで、各ふるさと納税の申し込みサービスをしているネットサイトを活用してはいかがでしょうか。

探してみると、「控除金額シミュレーション」のサイトが簡単に出てくるはずです。源泉徴収票を用意すれば、条件を入力するだけで可能な寄附金額が簡単にわかりますので、そちらを利用されるのもいいと思います。

ふるさと納税は、本来自治体への寄附ですので損も得もないはずですが、賢く使えば、メリットの大きいものです。支払う税金のある方は、ぜひ検討してみてください。

(構成:前窪明子)

渡辺 義則 公認会計士・税理士

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わたなべ よしのり / Yoshinori Watanabe

中央大学商学部卒業。外資系監査法人、経営コンサルタント会社を経て、現在、渡辺公認会計士事務所所長。中小企業の経営・税務の指導に当たるとともに、株式公開、相続対策セミナーの講師などを担当し、幅広く活動。著書に累計90万部を突破したシリーズ『自分ですらすらできる確定申告の書き方』(KADOKAWA)がある。

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