あおり運転にお灸据える「最新ドラレコ」の威力 2020年「ドライブレコーダー」トレンド予測

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一方で「360度型」の人気も、急上昇している。本来、このタイプは前方だけでなく両サイドからの衝突に対して効果を訴えてきたが、ドライバーが乗車中に外部から暴力行為を受ける事件が発生したことで、がぜんこのタイプに注目が集まるようになった。まだ価格は高めではあるが、確実に人気を集めていくだろう。

また、これに伴って「2カメラ型」のリアカメラを室内用として使うタイプにも目が向けられてきた。このタイプは、元々タクシーなど業務用として開発されていたが、あの暴力事件を契機に一般ユーザーからの注目も浴び始めている。

通信機能つきドラレコの可能性

では、従来からある「1カメラ型」はどうだろうか。POSレジのデータを元に調査するGfKによれば、最近は低価格機種よりも価格が高い高付加価値モデルが売れる傾向が出ているという。

ドラレコの高付加価値化が進んでおり、安全運転支援機能はその1つ。写真は「ケンウッド DRV-630」(写真:筆者)

「1カメラ型」もその例に漏れず、センサーには夜間撮影に強いソニー製CMOS「STARVIS(スタービス)」を採用する製品が珍しくなくなってきた。さらに安全運転支援機能を搭載して、速度超過や車線逸脱などを警告するドラレコも相次いで登場している。その精度から、必ずしも信頼できるわけではないが、少なからず低価格機種にはないアドバンテージが支持されているのは確かだ。

そして、ここへ来てドラレコの形態に新たな動きが出てきた。これまでドラレコは内蔵するSDカードに記録するのが役割だったが、ドラレコに通信機能を持たせて、事故の通報を自動化したり日常の運転を監視したりといった、見守り的なサービスが搭載されてきそうなのだ。

きっかけは、保険会社がこの分野に参入したことがあるが、今や時代は高齢化社会を迎え、遠く離れた両親の運転を心配する声は大きい。そうした状況にこの見守りサービスを利用することで、運転状況の可視化につながり、事故の発生を未然に防止できるようになるわけだ。

これらは業務用で普及が始まった分野ではあるが、一般ドライバーにとっても決して避けて通れない道でもある。一般的なドラレコで普及するには少し時間がかかると思うが、今後は安心安全につながる観点から、ドラレコの次のステップとして注目したい。

会田 肇 カーAV評論家

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あいだ はじめ / Hajime Aida

自動車雑誌出版社で編集職に携わった後、フリーランスへ。カーナビの黎明期より進化の過程を追い続け、その発展形であるインフォテイメント系のレポートも行う。使い手の立場でわかりやすいレポートを心掛け、掲載媒体は自動車専門媒体からモノ系媒体にまで及ぶ。カメラ系の情報にも詳しい。日本自動車ジャーナリスト協会会員。デジタルカメラグランプリ審査員。

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