独立に「成功する人」「失敗する人」の致命的差 「自分本位の独立」が成功する可能性は低い

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もう少し詳しく言うと、独立起業してスタートダッシュを切るのは、即戦力のAさんです。元の勤務先から業務を請け負うことがありますし、仕事で培ったネットワークを生かして顧客開拓することができます。しかし、1年も経つと会社やネットワークとの関係性が薄れて、3年も経つと開店休業状態になります。

一方、ずぶの素人のBさんは当然スタートダッシュはありえません。ただ、それにめげず、ゼロから学習し、着実にスキルを高め、実績を重ね、長い時間かけて人気講師としての地位を築き上げます。もちろん、長い下積みに耐えられず廃業に追い込まれるケースが多く、確実に成功できるというわけではないので、ご注意を。

Aさんが成功しない理由

断然有利な立場にあるはずのAさんが成功しないのはなぜでしょうか。私のところに来るAさんタイプの相談者は、いつも自信満々です。

「社内講師を年間100日以上やってきた」

「受講満足度(のアンケート)は5点満点でつねに平均4点以上だった」

中にはプロ講師の私に向かって「これまで多数の外部講師を見てきたが、私よりも教え方がうまいと思った講師に出会ったことがない」と豪語する人もいます(「だったら相談に来なくてもいいのに……」と内心思いますが)。

ただ、よく聞いてみると、彼が担当しているのは100日稼働といっても、新入社員研修や昇格者研修のような定型化されたプログラムで、会社が企画・募集などすべてお膳立てし、社員が必須受講という研修ばかりでした。受講満足度が高いといっても、アンケートはたいてい記名式で、受講者は人事部門を相手に低い評価をつけにくかったりします。

研修講師業で難しいのは、まず「受注すること」、次に「受講者を集めること」、そして「受講者に満足してもらうこと」です。どれだけ経験豊富でも、この3つの関門をくぐってないAさんは、プロから見てまったく鍛えられていません。したがって独立起業しても、そのままでは通用しないのです。

一見、即戦力のAさんですが、プロとして活躍するためには、営業の方法、顧客のニーズに合わせてプログラムを作る方法、研修運営の方法などを改めて学習する必要があります。

年々、企業を取り巻く環境がどんどん変化しています。市場・顧客・競合・技術が変わり、企業はいろいろな問題・課題に直面するようになっています。それに伴い、企業の研修ニーズも高度化、多様化しています。Webベースの研修やアクションラーニング(体験型の研修)など研修技法も進化しています。

そのため、研修講師が持っている知識・スキルはどんどん陳腐化します。一度学習したらおしまいではなく、継続的に学習する必要があるのです。

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