意外に正しかった100年前の「日本の未来」予測 100年後も「名探偵コナン」は続いているのか

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その一方で、「南極から北極へ日帰り」「地球と火星との交通」「全世界の宗教を統一」「首府、関西にうつる」「資本の公有を断行」「エスペラントが国語」「平均年齢百二十五歳」「白米ただになる」など、若干、先読みしすぎた感のある予想もある。

また、「飛行機六百人乗り」「世界よりわが国に留学」「太平洋が世界競争場」「人口の増加が停止」「皇室はご安泰」「女子の大臣・大学総長」など、ほぼ正しく読み当てているものもある。

思考や発想の「癖」

では、今回の『アステイオン』ではどうだろうか。

さっと目次に目を通した私自身の第一印象は「意味深」だ。

渡辺靖(わたなべ やすし)/慶應義塾大学環境情報学部教授。1967年生まれ。専攻は、文化人類学、文化政策論、アメリカ研究。上智大学外国語学部卒業後、1992年ハーバード大学大学院修了、1997年Ph.D.(社会人類学)取得。2004年、『アフター・アメリカ』でサントリー学芸賞を受賞。著書に『アメリカン・コミュニティ』(新潮選書)、『アメリカン・デモクラシーの逆説』(岩波新書)など(写真:サントリー文化財団)

例えば、「保守の支配するリベラルな国」(前田健太郎)、「『思想』は生き残れるか」(苅部直)、「百年後にも百年後は問われるだろうか?」(三浦雅士)、「歴史を語る快楽はまだまだ続く」(山崎正和)、「人口小国として生きる」(上野千鶴子)、「西太平洋連邦を目指して」(北岡伸一)、「不機嫌な人間ロボットで一杯になる」(猪木武徳)、「日本語表記がローマ字になっている」(佐藤卓己)、「けだるい生・死権力のゆくえ」(遠藤乾)……。

沈思黙考せずにはいられない。

さらには、「高まる魂の経験値」(辛酸なめ子)、「袖ふれあうそれぞれの暦」(牧原出)、「百分の一秒後の未来」(奥本大三郎)、「1〇〇年という『無』」(青木保)、「1〇〇〇年前から見たら」(熊倉功夫)など、輪をかけて「意味深」なものもある。はたしてどういう意味が込められているのだろうか。

もう1つ印象的だったのは、やはりそれぞれの書き手の個性が出ているという点だ。当然と言えば当然だが、そう感じることができるのは必ずしも当然ではない。

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