山手線、1周で実は6つの「峠」を越えている かつてはトンネルも存在、新宿が「最高地点」

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第2の峠、五反田―恵比寿間の「白金台地越え」では、ほぼ峠の上に目黒駅がある。かつてはここに「永峯隧道(トンネル)」があった。このトンネルについては後で述べたい。

山手線の6つの峠(筆者作成)

JR渋谷駅はその名のとおり谷にあるため、地下鉄銀座線が山手線より高い場所を走る。青山方面の高い台地の地下を通る銀座線が、渋谷の谷に突き当たり、地上高くに顔を出してしまうためだ。

渋谷駅から原宿駅を経て代々木駅付近までは最も長く上り坂が続く。機関車の性能が今より劣っていた昭和40年代頃、旧型電気機関車の牽引する長編成の貨物列車が、モーター音を唸らせながらスピードをやや落として走っていたのを思い出す。

高架や築堤上区間を除いて、もともとの地盤の上としては新宿駅が山手線最高所の駅で標高38m。品川駅からは約35m上ったことになる。線路面での最高地点(第3の峠)は、新宿―新大久保間、山手線が中央線を跨ぐ場所で標高約41mだ。

新宿と田端の標高差は約30m

第4の峠は、元総理大臣の田中角栄邸などがあった目白台だ。高田馬場方面の低地を見下ろすようにして眺めがいい。高田馬場を出た電車は台地へと上っていく。目白駅や池袋駅は、目白台から続く台地上にある。

新宿駅付近(代々木寄り)。この付近は東京駅や品川駅より約35mも標高が高い(筆者撮影)

旧中山道(白山通)が線路を跨ぐ巣鴨駅西方付近が第5の峠。六義園や染井霊園などがこの付近にある。

駒込―田端間で湘南新宿ラインが走る線路が山手線と分かれてトンネルに入るが、それとは別に、山手線にも長さ数十mほどの「道灌山トンネル」があった。昭和初期頃まで使われ、戦災で瓦礫の処理場となり埋められた。現在、この第6の峠にあたる場所は切り通しとなっているが、坑門の一部が露出しているのが右側車窓に見える。

そして田端駅は線路部分の標高が約5m。新宿駅からは途中上り下りがあるものの、標高差で約30m下ってきたことになる。

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