日経平均の動きが「バブル崩壊時」に似てきた? 上昇相場の先行きをチャートで徹底予測
景気動向指数の直近の数値は2019年8月で91.9となっていますが、実はこれはなんと2009年頃の水準と同じです。2009年といえば、1990年の平成大暴落以降の最安値をつけた年で、日経平均の始値は9043円、高値1万0639円、安値7054円、終値1万0546円でした。
一方、法人企業統計を見ると、当時の経常利益は2兆円強の赤字から4兆円弱の黒字へ急回復する場面でした。現在は8兆円弱の水準で、約2倍になっています。つまり、経済環境は2009年の水準ですが、企業利益は約2倍になっているので、簡単に言えば日経平均は2009年の2倍の1万4000~2万1000円くらいが妥当な水準なのかもしれません。
平成バブル時のPERは50倍台を超えていた
少し前の話になりますが、11月6日にソフトバンクグループ(9984)が発表した決算は、約7000億円の連結最終赤字でした。このため、翌11月7日の株価は前日比で大きく下げることが警戒されましたが、実際には終値対比で96円安にとどまりました。赤字の額の大きさから考えれば、ほとんど下げなかったといってよいでしょう。
一説では、悪材料を隠すことなく正々堂々と発表し、今後の回復が期待されたので売り込まれなかったのだろうといわれています。しかし、これは企業価値を正しく判断しているといえるのでしょうか。
日経平均が史上最高値を記録することになった昭和末期から平成にかけて訪れたバブルでは、日経平均のPER(株価収益率)は50倍を超えていました。当時は不動産価格が高騰していたので、企業が保有する遊休資産の価値を現在価値に評価し直せば割高ではないといわれていました。
また2000年のITバブルでは、IT技術によって経済は持続的に成長するニューエコノミーの時代が始まったので、株価上昇は永遠に続くといわれました。その後どうなったかは、歴史が示すとおりです。
日経平均のPBR(株価純資産倍率)から逆算した1株当たり純資産額は2万円強ありますから、現在の市場がバブルに入っているとは思いません。しかし、悪材料に対して反応しないマーケットが正常だとも思えません。
悪材料に反応しなかったり、悪材料をそうでないように言いくるめるような理屈がまかり通る市場環境には注意が必要です。悪材料が悪材料として報じられなくなると、投資判断を誤る可能性があります。
もちろん、相場が上昇するのは収益機会ですから歓迎ですし、できれば早く日経平均が3万円を回復する軌道に乗ってほしいと思います。今のところ出来高が極端に減少しているわけでもなく、まだ下げる兆候のない段階から逆張りの売りポジションを持つことは危険でもあります。
ただ、下降局面に転じる可能性があることを理解したうえで買いポジションを持っているのと、上昇が続くと信じて買いポジションを持っているのとでは、下げに転じたときの対応の速さに差が出るのではないでしょうか。警戒感を持っているほうが素早く手仕舞えるかもしれません。
もし、日経平均が下降に転じて1株当たり純資産額に接近したり、あるいは下回る場面があるとすれば、それはそれで投資家にとっていい投資機会になるでしょう。とくに、これから本格的に投資を始めようという若い世代には好都合です。
相場が上昇している間は追随するのが正道です。しかし経済環境が好調とはいえない中で上昇しているという点は、決して忘れないほうがよいでしょう。
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