『マイホームを購入したら左遷?』(営業職30歳) 城繁幸の非エリートキャリア相談

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<城繁幸氏の診断>

『マイホームと愛社精神の微妙な関係』

 最初に断っておきますが、もっと色々ヒアリングしてみないと、実際のところはなんとも言えません(まあそれを言えば全部そうですが)。以下はあくまで個人的見解ですので、その点はご理解ください。

 一般的に企業の中には、「なかなか辞めそうにない人間ほど、優先して人気の無いエリアに配属する」という傾向があります。もちろん賃金規定なんて全国一律でしょうが、そうはいっても任地によって人気不人気はかなりの温度差があるわけです。

 具体的には、「入社5年目以内の若手は、地方工場に配属しない」などという内規は、結構どこにでもあります。若者はフットワークも軽いですからね。

 そこで、企業が考える「なかなか辞めにくい人材」というのがどういうタイプかというと、一般的に「30代以上、既婚」などとなるわけです。

 私の知る限り、上記の条件に「マイホームのローンが残っている者」という条件をくっつけている企業が何社かあります。つまり、「ローンが残っていれば、少々田舎でも我慢して働くだろう」と勝手に踏んでいるわけです。もし頻繁にそういう人事異動が繰り返されるようなら、こういう内規の存在を疑ったほうがいいかもしれません。

処方箋:『家を選ぶか、職を選ぶか』

 こういう異動をまだやっているということは、相当古い社風だと思われ、だとすると上司や人事に相談しても解決する余地は少ないかもしれません。上司との関係が良好であれば、まず家を買う前にそれとなく確認してみるべきでしょう。

 その上で噂が事実なら、ご自身の人生設計に基づいて「会社に残るか、転職か」を選択されるべきでしょう(もちろん、賃貸で我慢するというのも手ですが)。

 一つ留意願いたいのは、会社は必ずしも本人を“評価していない”というわけではないということ。勤務地で仕事の重要性が決まるわけではありませんし、技術部門なら、たいてい少し郊外に重要拠点があるものです。

 個人的には、そういう社風の古い会社に残っても、今後何十年とキャリアが続く中で、必ずもっと深刻な矛盾にぶちあたることが予想されるので、まだ若い今のうちに転職しておくのも良いと思われます。現在は売り手市場ですから、勤務地域限定での求人はいくらでもありますから。

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