高齢化率50%「横浜のニュータウン」に変化の波 大和ハウスが「再生」に乗り出す背景事情

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第2の理由は、過去に開発したニュータウンをこのまま放置しておくことが、今後の企業成長の足かせになる可能性があるからだ。

野七里テラスの内部の様子。夕方になると子どもたちも集まる(筆者撮影)

時代は、環境・社会・ガバナンスへの取り組みが適切に行われているかを重視する「ESG」など、持続可能な社会の実現へ向かおうとしている。

そうした時代の変化の中で、ニュータウン再生問題は事業リスクになり、社会的責任を問われる状況になることも考えられるのである。

不信感をどう払拭するかも課題

といっても、道のりは険しい。上郷ネオポリスの住民の方からは、「大和ハウスは、開発終了後は売りっぱなしだった。意見交換会が始まった頃は半信半疑だった」という、厳しい本音も聞かれた。

このような不信感を取り除くことから始まるわけで、ましてや事業を採算ベースに乗せるためには相当の時間がかかる。ただ、それはどのニュータウン再生、あるいはストック住宅の流通活性化、空き家問題の解決であっても同じことで、チャレンジする姿勢は評価できる。

過去に開発したニュータウンに舞い戻り、その再生に取り組むという事例は、少なくとも筆者には記憶がない。そうした観点からも、今回紹介させていただいた。冒頭にも書いたが、再生の必要があるニュータウンは多く、これに続く動きが出てくることに強く期待したい。

大和ハウス東京本社1階に設けられたリブネスのVR遠隔接客ブース「どこでもストア」(筆者撮影)

なお、大和ハウス工業は2018年1月から、ストック住宅の売買仲介、買取再販、リノベーション・リフォームなどの既存住宅事業を強化するため、グループ統一の新ブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げている。

2022年3月期には売上高3000億円規模をもくろんでいるという。この中でネオポリスの再生事業は、「リブネスタウンプロジェクト」と称され、兵庫県三木市にある「緑が丘ネオポリス」でも取り組みが行われている。

田中 直輝 住生活ジャーナリスト

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たなか なおき / Naoki Tanaka

早稲田大学教育学部を卒業後、海外17カ国を一人旅。その後、約10年間にわたって住宅業界専門紙・住宅産業新聞社で主に大手ハウスメーカーを担当し、取材活動を行う。現在は、「住生活ジャーナリスト」として戸建てをはじめ、不動産業界も含め広く住宅の世界を探求。

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