ナイトスクープに見る「ウケる地方番組」の本質 たかじんも予見していた「ローカル」の強み

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だが、ローカル番組は少数の視聴者にしか見られないものだという認識は過去のものになりつつある。テレビ局による見逃し配信サービスの『TVer』やその他の動画配信サービスによって、ローカル番組が本来の放送地域以外でも見られるようになった。その結果、ローカル番組でも面白い番組はウェブ上で話題になってじわじわと広まっていく、という流れができている。

例えば、東京でくすぶっていた千鳥が復活したきっかけの1つは、埼玉ローカルの『いろはに千鳥』(テレビ埼玉)というロケ番組である。千鳥にとっては関東地区で初めての冠番組だった。この番組で千鳥のロケの面白さが再評価され、その評判が業界内でじわじわと広まっていった。それが彼らの全国区でのブレークにつながったのだ。

ローカル番組でも「1軍」になれる

かつて、テレビの世界では「全国ネット番組」と「ローカル番組」という区別しかなかった。今では、BS放送やCS放送があり、Amazon、Netflix、AbemaTV、YouTubeなど、映像コンテンツを楽しめるサービスは無数にある。その中でローカル番組も1つの映像コンテンツとして見直されている。「番組」というよりも「コンテンツ」として、さまざまな媒体で流通するようになった。

全国ネットのテレビ番組はマスに向けて発信しているため、どうしても企画内容が似たり寄ったりになりやすい。その点、ローカル番組には多様性がある。

『水曜どうでしょう』のような形の大ヒット番組が、企画の自由度の高い地方から生まれる可能性は十分にある。ローカル番組は全国ネット番組の「2軍」のような存在ではない。今の時代、「広く浅く」よりも「狭く深く」刺さるコンテンツのほうが根強い人気を獲得できることもある。予算不足、タレント不足を逆手に取ったローカル番組の逆襲はこれからも期待できるだろう。

ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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