子どもへの性被害生む児童ポルノという引き金 「個人のお楽しみ」で片づけていい話ではない
子どもへの性犯罪に関するニュースが、今年も後を絶たなかった。10月末には、教え子の女子児童7人に対する強制性交罪や児童ポルノ禁止法違反罪などで起訴されていた元小学校教員の男性(35歳)に対し、検察が懲役15年を求刑したと報じられた。その際、検察は「小児性愛の傾向は顕著」「再犯の可能性がある」と厳しく非難したという。
精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏は、11月に発売された新刊『「小児性愛」という病~それは、愛ではない』で、子どもへの継続的な性的関心とその行動化は、精神疾患の1つ“小児性愛障害”と見なされること、それこそが再犯率が高い理由の1つであることを明らかにしている。
これまで加害者臨床の現場で150人を超す性犯罪加害者と関わってきた斉藤氏は、加害行為のきっかけになるものとして児童ポルノを挙げている。愛好する者らはよく「現実とファンタジーの区別はついている」と主張するが、はたしてそれは本当か?
以下、同書の一部を抜粋・再構成して紹介する。
“個人のお楽しみ”で片付けていい話ではない
児童ポルノ禁止法(正式には、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)は2014年の改正時に、単純所持することも処罰の対象となりました。
この単純所持について、個人の性嗜好を法で規制することの是非を問う声があります。児童ポルノの製造は表現の自由であり、所持するのも自由だということです。しかし、彼らが楽しんでいるものは子どもの犠牲のうえに成り立っています。そうした児童ポルノに需要があるという前提のもと、また新たな児童ポルノが製造され、被害者が増えます。“個人のお楽しみ”で片付けていい話ではないのです。
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