日本人の給料がまるで上がらない決定的な要因 国際的に見ても、もはや競争力を失っている

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世界の中でも非常に高い競争力を保てるはずだ。実際に、日本の企業は、これに近い体質を競争力の源泉として喧伝してきた。

しかし時代は変わり、この製造業的な「終身雇用」「全員横並びの安定した給料」こそが、現在の日本人の給料の安さを決めている。

理由②:流動性が低い

例えば雑誌を定期購読する際、「一度契約したら、38年間は購読してください。その代わり1冊の値段は500円です」という契約と、「1冊1000円ですが、つまらなかったらこの1冊でやめてもらってかまいません」という契約があったとする。

まず内容を確かめたい人は、1000円のプランを選択する。すぐにやめられる。でも38年間の購読をあらかじめ決める必要があれば、その分安く買いたい。当たり前の話だ。

これを人事採用に置き換えると、企業にとってはこんな感じだ。

・年収500万円でずっと雇用する社員
・年収1000万円だが、成績次第では、1年しか雇用しない社員 

つまり企業は、

① もしかすると力がない可能性がある社員に年間500万円を払い続ける
② 年間1000万円を支払うかもしれないけれど、1年以上の雇用責任がない

この2つの選択肢を比べる。

社員のほうからしても、すぐに辞めなければならないリスクがあるほど、高給を要求せねばならない。これはリスクプレミアムとでもいうべきものだ。

企業はすぐに解雇できるメリットを手に入れる場合、リスクプレミアム分の金額の上乗せを用意し、給料を高くしなくてはならない。海外の企業はまさに後者で、彼らの給料の高さは、このリスク分ともいえる。

そして、労働者が自分に適した市場に移りゆくことを「流動性」と呼ぶ。転職がさかんな場合は「流動性が高い」、誰も転職しない場合は「流動性が低い」と表現する。

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