長野県駅、リニアの「隣村」で住民は何を思う? 新駅ができる飯田市の東、豊丘村の将来

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東京・品川を起点とするリニアは、神奈川、山梨、静岡の各県を経由し、南アルプスをトンネルで貫いて、伊那谷の長野県駅(仮称)に至る。豊丘村を東西約10kmにわたって横切るものの、その姿を見ることはできない。天竜川の手前、南隣・喬木村との境界付近でようやくトンネルから地表に出て、川を渡るともう飯田市、そして長野県駅だ。

豊丘村一帯の地形とリニア中央新幹線のルート(地理院地図から筆者作成)

つまり、村域からは、河岸段丘から天竜川を横断して駅に向かう車両を、遠目で見る状況になる。ただし、村内に2カ所のトンネル非常口と変電施設が設けられる計画だ。

少しもどかしい環境下、リニアや、これから整備される駅をどう活用するか、住民の暮らしや経済活動をどうつくり変えていくか――。

役場に置かれた村のイメージキャラクター「だんQくん」と、伊那谷を見晴らす「福島てっぺん公園」のポスター=2019年6月(筆者撮影)

例えば、村内には2018年春にオープンした「道の駅 南信州とよおかマルシェ」や、伊那谷を見渡せ、「ほうきに乗った魔女」に扮した写真の撮影名所となっている「福島(ふくじま)てっぺん公園」といったスポットがある。とはいえ、泊まりがけで訪れる観光名所はとっさに思い浮かばない。リニア開通が直接、活動を左右する大企業が所在しているわけでもない。

研究会が2017年秋に実施した村民アンケートでは、興味深い結果が得られた。リニア時代に備えて、「新たな村づくりが必要」、そして「今のままでよい」のどちらを選ぶべきか。二者択一で尋ねたところ、10代の回答は、「今のままでよい」が「新たな村づくりが必要」を上回ったという。地方を問わず、若い世代に「地域」への否定的な感覚が染みつく中で、豊丘村の若い世代は、村の今の姿に愛着を抱いている様子が浮かび上がる。

飯田市のベッドタウン

長野県の「毎月人口異動調査」によれば、2019年10月1日現在の村の推計人口は6436人。県内の村では中位の人口規模だ。計算してみると、15歳未満の年少人口の割合は13.8%と、長野県平均の12.2%、飯田市の12.8%を上回り、若干ながら「子どもの多い村」であることがわかった。

現に、村内を走ると、子ども用自転車が玄関先にあるなど、子育て世代が入居しているらしい真新しい家が目立つ。税金の安さや村の移住促進策、子育て支援策によって、近隣の飯田市、さらには県外からも移住者がいるのだという。

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