心を開かない「元野良犬」を迎えた家族の大決断 熊本の山からきたギーと家族になるまで
SNSで見つけた飼い主の姿に勇気づけられた
それからどうしたのかといえば、Instagramを検索したのだ。『#元野良犬』やら『#人慣れ訓練中』やらのハッシュタグを手繰りまくった。病気になったときに、経験者を探すのと同じだ。克服例を見たかった。そしたら、たくさんあった。
今はもうすっかり人慣れした元野良ちゃんの投稿も、今現在まさに試行錯誤中の投稿も。ギーのトライアル期間中、SNSを検索しては、見つけた投稿に背中を押してもらっていた。
しかも、何日ハッシュタグを探しても「結局最後まで、慣れてくれませんでした」という投稿だけは見つけられなかったんですよ。まだ試行錯誤中の人は「いつまでも待つよ」と、すっかり懐かれた人は「待っててよかった」とSNS上に書いてある。
あんなに勇気づけられたことはなかった。だから私も、待つことに決めた。ギーを観察しながら待つぞと。ギーの観察日記として誕生したのがWEB漫画である『イヌ日記』だった。
ギーがわが家にきて、1年半経った。心を開かなかったギーも、今では鼻先を私の足に押し付けて、散歩をねだる。最近では、公園で会う人のそばへ行って、無表情のまま立ち止まったりする。撫でてくれ、と合図するように。カチコチに緊張していた最初の頃の顔は、もう見せない。
もちろん人のことが大好きな家庭犬というわけにはまだいかないが、ギーは確かに心を開き始めている。室内にいるときのギーは、いまだに部屋の隅にいることが多い。それでもごくたまにリビングにいる私に近づいてくることがある。ギーと家族になれたんだと感じることが増えてきている。
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