バスに大苦戦、特急「ふじさん」は生き残れるか 強敵の「高速バス」が本数や料金で圧倒する

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「ふじさん」の競争力を回復する方途としては主に、(1)本数増加、(2)料金見直し、(3)車両のグレードアップ、そして(4)新駅設置が考えられる。

まず、(1)本数増加を考えてみよう。現状でも土休日は1往復増の上下8本が運行されているものの、高速バスの本数には及ばない。増便を実現するうえでは、まず小田原・箱根湯本発着の特急本数との兼ね合いを勘案する必要がある。

この点については、秦野などで小田原・箱根湯本方面と御殿場方面の増解結を行えば、小田原・箱根湯本発着の特急本数を確保しつつ、御殿場方面の本数を増やすことは可能である。

しかし、もう1つの大きな問題として、御殿場線が単線であることと、「ふじさん」全利用人員に占める御殿場線内の利用人員の割合が低下している点がネックとなる。利用増が見込めないと増便は難しい。小田急は「土休日は臨時列車を運転することで、多くのお客さまにご利用いただいている」(CSR・広報部)と説明する。

料金見直しや新車両導入は?

(2)料金見直しについては、小田急・JR直通利用の場合、松田で小田急とJRの運賃・料金が合算されるため、高速バスと比べると割高となってしまう。JR御殿場線内は通常の指定席特急料金よりは割安になっており、料金見直しは容易ではないが、往復券といったお得感がある企画乗車券などで囲い込みを考えたいところだ。

小田急20000形RSEで運用した「あさぎり」(写真:HAYABUSA/PIXTA)

(3)車両のグレードアップは検討に値する。「ふじさん」に使用される小田急60000形MSEは地下鉄直通運用を前提とした設計となっている。2012年3月16日まで使用されていた小田急RSEは小田原・箱根湯本方面との共通運用が組まれていた。

地下鉄直通の制約条件がなく、比較的グレードの高い内装を備えていた点も魅力であったが、今後さらなる誘客のために普通車(一般席)であっても豪華な内装を備えた特急車両を考えたい。バスにはない価値を提供することが「ふじさん」が選ばれるカギではないだろうか。

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