姉妹の絆を深めた介護と「人生の完走式」
「私の母(中略)は皆様の温かいご声援を胸に、去る3月10日の夜、93年の人生マラソンのゴールテープを無事に切ることができました」
長坂幸子は、母親の「人生完走式(葬儀)」のチラシを、マンションの掲示板に貼った。2人で暮らしたマンションの集会所でこの式を行う知らせだった。2019年3月のこと。その行間にはすがすがしさが匂い立つ。
一方で、約8年間もの介護を終えた長坂はなぜか、85歳まで元気だった母親がピンピンコロリと急逝していたら、自分はきっと長い間後悔し続けたはずだと続けた。
理由は2つある。当時の自分は仕事最優先で、母親の世話になりっぱなしだったこと。また、長い介護生活は山あり谷ありだったが、その過程で深く関わった人たちとの絆が、長坂の人生を豊かにしてくれていることだ。
その1つに2歳下の妹との関係もある。


















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