長年の「鉄道の課題」は2020年代に解決できるか

鉄道総研が取り組む研究開発の一端

台風19号による久慈川の増水で崩落した水郡線第六久慈川橋梁。橋脚も倒されている(袋田―常陸大子間、撮影:杉山慧)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2020年1月号「2020年代 鉄道技術はなにと向き合うのか」を再構成した記事を掲載します。

きたるべき2020年を機に、これからの鉄道に目を向けてみる。近未来に向けた鉄道の技術分野には、どのような課題があるのか。このテーマについて、研究開発に取り組んでいる鉄道総合技術研究所(鉄道総研:東京都国分寺市)を訪問した。

想定外が増えた自然災害に立ち向かう

「RESEARCH2020」は、鉄道総研が2015年度から取り組んできた基本計画である。研究開発の柱として「鉄道の将来に向けた研究開発」「実用的な技術開発」「鉄道の基礎研究」を立て、それぞれに安全性の向上、低コスト化、環境との調和、利便性の向上を目指す方向としてきた。鉄道の将来に向けた研究開発は十数年先の実用を念頭に置いた研究開発とされ、それがまさに今の課題に沿った取り組みとなる。

「鉄道システムのさらなる安全性の追求」を命題に取り組んでいる1つが、防災・減災技術の高度化。華のある高速車両などに比べると地味な感は免れないが、重要課題である。最近の災害、とくに気象災害は従来にはなかったエリアで、想定外の規模で発生している。

それに対する研究開発として、雨量や風速、河川水位や斜面異常をモニタリングし、リアルタイムに高精度で被害を予測し、沿線被害を軽減するとともに早期の復旧支援を目指す取り組みが行われている。

また、橋梁や山岳地帯の斜面等にセンサネットワークを張り巡らし、無線で指令所や本部と結ぶことにより、情報をリアルタイムで収集し、現場係員とも緊密にやり取りできるシステム作りも行われている。災害予測は、直前に発表されても対処の余地はないため、1時間後、2時間後には発生するなどの事前予測が重要である。そのための分析能力の向上には、これでよいといった限度はない。

実用化された開発事例の1つとして「気象災害ハザードマッピングシステム」を示してくれた。鉄道沿線で発生する土砂災害、強風災害、雪崩災害、落石災害を対象に、災害の素因や外力の大きさ、災害の発生しやすさをGIS(地理情報システム)上に表示できるシステムで、異なる種類の災害について一元的に捉えられる。斜面表層の相対的な安定性、転覆限界風速を超える強風の再現期間、雪崩災害の発生確率、落下する岩塊の到達確率が表示できると言う。

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