JR西「銀河」来年5月デビュー、気になる価格は? まず京都・大阪から山陰、その後は山陽を走行

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デザインを担ったのは建築家の川西康之氏。鉄道車両分野ではえちごトキめき鉄道の観光列車「雪月花」のデザイナーとして知られている。

雪月花をデザインする際、川西氏は、JR九州の鉄道デザインで有名な水戸岡鋭治氏から鉄道デザインのあり方を学んだ。ただ、それは単なるデザインのコピーではない。鉄道車両の制約と、ユーザーの快適性をいかに両立させるかという理念である。その結果完成した雪月花は、床材に地元の瓦材を使うなど、オリジナリティあふれる車両となった。

ウエストエクスプレス銀河の外観は「瑠璃紺(るりこん)色」という、深みのあるブルー。これは「西日本が誇る美しい海や空を表現している」という。1号車のグリーン車指定席は「ファーストシート」、3号車のコンパートメントは「ファミリーキャビン」、2・5号車のノビノビ座席は「クシェット」など、座席設備に愛称が付けられた。また、3・4・6号車に設けられるフリースペースもそれぞれ「明星」「遊星」「彗星」と命名。「個室から普通車までさまざまなタイプをそろえ、幅広いお客様に鉄道の旅を楽しんでもらいたい」(来島社長)。

1号車のグリーン席は向かい合わせの席をパタンと倒せばベッドにできるようにした。「窓1枚を占有し、昼でも夜でも自由に寝たり座ったりできます」(川西氏)。6号車もグリーン車で個室タイプ。決して広くはないが、普通の座席の座面よりも高い位置になるようにベッドが配置されている。

3号車には小さいお子どもと一緒に家族が楽しめるようなコンパートメントがある。ただ、壁ではなく、ルーバー(ブラインド)で仕切るスタイルで、完全な個室ではない。

2号車と5号車には来島社長のこだわったノビノビ座席がある。117系は天井までの高さが2100mmしかなく、昔の寝台列車の高さよりも低い。そこで、窓を30cm下に広げるなどの工夫をしたという。

夜遅くまで会話を楽しんでほしい

4号車はフリースペース。夜遅くまで会話を楽しめる車両にしたいという狙いがある。乗客に思い思いに楽しんでもらおうと、テーブルやいすの種類もさまざまだ。

川西氏が特に意識したのは回遊性だ。「京阪神から山陰や山陽へ走るということは、新大阪から新山口まで2時間弱で行ける新幹線に対し、お客様にはその何倍もの移動時間を過ごしてもらうことになります。長時間の旅を楽しんで頂くためには、個室で寝転がれるだけでなく、フリースペースも必要です。当初案ではフリースペースは1カ所あればいいということでしたが、結局、大小合わせて4カ所設置しました」。

今回は運行ルートや料金の発表にとどまったが、月内には車両が姿を見せる予定。来年1月には内装も完成する予定だ。

JR九州も「ななつ星」よりも気軽に乗れる長距離列車の投入を構想中だ。こうした列車が各社から続々と登場すれば、お金に余裕のある一部の人しか利用できない豪華列車よりもはるかに日本の鉄道文化の育成につながるはずだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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