容姿や年齢にとらわれる「呪い」はもう要らない 小島慶子と犬山紙子が共働き共育てを語る
小島:私の母もルッキズム、エイジズムにとらわれていていたのだけど、とらわれる悲しみもあると思うんですよね。多分、彼女は、そうじゃないとサバイブできなかったんだろうなと思う。母は美人であることを見込まれて大企業の役員秘書の職を得て、丸の内の商社マンと結婚し、いわゆる「中流」になることができました。それを身をもって体験しているから、娘に対して「女は美人じゃないと駄目よ」と言ってしまう。
犬山:ルッキズムの呪いをかけてしまうんですね。
小島:それで幸せになったと信じている人を否定しても気の毒なので、そっとしておくしかないのだけど、私たち娘の世代はその哀しさをメタ視線で捉えて、呪いを解かないといけないんだよね。
犬山:悪意を持ってルッキズムを伝えてくる親だったら、距離を置いたほうがいいと思うけれど、ルッキズムに苦しんだ親に対しては、寄り添う方法もあると思います。親も苦しんだんだねというところは受け止めて、でも私たちの世代では、断ち切らないといけない。
ルッキズムから解放されると、友達や好きな人のことが、美しく見えて、最高な気持ちになれるんですよ。こんなハッピーなことは、子どもにも伝えたい。私自身も思春期の頃にこの気持ちを体験したかったと強く思います(笑)。
男性の育児参画をさらに広めるには
犬山:今、育児世代の男性の意識が改革されてきて、育児をしようとする人が増えているのに、上の世代はまだ意識改革の途中という現状があります。男性の育休の取得率を伸ばしたり、家事育児へのさらなる参画を促すには、夫婦で手を取り合う必要がありますよね。そのときどんな呼びかけ方だと効果があるのでしょうか。
小島:男性たちは、一見女性の活躍を喜んでいるように見える人でも、実際は「男は女よりも強くなきゃいけない」という思い込みが強かったりします。なので、女性が呼びかけるよりも、男性が安心して、「あの人に言われたならそうするか。早く帰るほうがかっこいい」と思うような男性に言ってもらう必要があるのね。
犬山:誰だろう?
小島:2018年の10月に中田敦彦さんが「『良い夫』やめました」宣言をしたりして、自分の育児のことを公開したのは、意味のあることだと思います。でも、中田さんが1人だけやるのではなくて、スポーツ界でも文化人も政治家もやる、というように、同時多発的に何人もがやらないとトレンドにはなりません。「憧れのあの人がやっているなら俺もやるかな」というふうにするには、戦略的に“男も子育て当たり前”トレンドを作る必要があるんです。