スズキ「次期ハスラー」は武骨さが売りとなるか 個性を追求して、ライバルとの差別化を図る
追求するのは「かっこよさ」だけではない。「かわいさ」にも磨きをかける。オプションとして、車体に柄を追加できるステッカーも発売する。これを使うことで、簡単に車体デザインを変えて遊べる、というものだ。「これまでもハスラーは限定車やマイナーチェンジを積極的に行い、ほかと被らない個性的な車になるようにしてきた。それを強化する」(竹中氏)。
競争激しい国内の軽自動車市場
目下、国内の軽自動車市場における競争は激化の一途をたどる。移動手段としての意味合いが強い安価な小型車は、価格勝負となることが多い。スズキは過去にダイハツとの苛烈な販売台数争いを繰り広げたが、利益の健全化を優先しこの戦いから撤退。近年は広い車内空間などに強みを持つホンダの「N-BOX」が車種別で販売トップをひた走るほか、メーカー別ではダイハツがトップを維持する。
スズキは長年、アルトやワゴンRなど、どちらかといえばデザインの個性が弱い車を主力としてきた。安さが求められてきた小型車市場ではある種、当然のことだが、ニーズが多様化する中で、いかに個性を打ち出せるかがスズキの課題でもあったのも事実だ。
また、競争の軸がCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に移り、各自動車メーカーのリソースが逼迫する中、協調領域も増えている。スズキは業務提携先のトヨタと、今年8月に資本提携に踏み切った。互いの独立性を担保しつつ電動化技術などで共同開発を進める一方、トヨタ傘下のライバルであるダイハツとの差別化は欠かせない。それだけに競合にはないデザイン性や実用性が強みのハスラーは貴重な存在だ。
初代ハスラーは2014年1月の発売から約6年にわたり、マイナーチェンジのみでフルモデルチェンジがなかった。国内の一部販売店からは「デザイン性で当たった車種のフェイスを変えて、売れなくなるのが怖いのではないか」との声も聞かれた。
こうした声を踏まえると、次期ハスラーで打ち出した姿形は大きな決断と言える。鈴木俊宏社長は「経済状況もよくないので、(初代ハスラー発売当時の)月販1万台を目標としたい」と話す。ハスラーのような個性を前面に出したクルマが、今後のスズキの行く末を左右しそうだ。
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