デジタルで「成功した日経」と「微妙な読売」の差

ノンフィクション作家の下山進氏に聞く

読売新聞、日経新聞、そしてヤフーという三者三様の三国志から見通す「メディアの未来」とは(撮影:尾形文繁)

渡邉恒雄主筆が「このままでは持たない」と言う読売新聞に対し、日経電子版を成功させた日本経済新聞。新体制で方向転換するヤフー。三者三様の三国志から見通す「メディアの未来」とは。『2050年のメディア』を書いたノンフィクション作家の下山進氏に聞いた。

イノベーションのジレンマを破った日経

──ネットは日経の独り勝ち。

杉田亮毅社長が無料サイト50億円の売上高を捨ててでもデジタル有料版をやると決断した2007年は、ネットの情報はタダが当然という時期。ネットで金を取っていた新聞はウォール・ストリート・ジャーナルだけでした。

まさにイノベーションのジレンマを破った。

日経は1970年代に当時の圓城寺次郎社長が「総合情報化路線」という新聞社のコンセプトを変える方針を打ち出した。分単位で相場などの情報を伝えるQUICKを作り、アーカイブ機能を持つ日経テレコンを作る。紙は情報提供の手段の1つという考えが若い世代に受け継がれたのが大きい。

また、「長期経営計画」というユニークなシステムがあった。30〜50代のエース級人材を局横断で集め、1つのテーマを1年間かけて研究、経営陣にレポートを提出させる。若い頃から日々の仕事とは別に技術革新などの大きなテーマを考える訓練がなされ、新しい市場に出る土壌があった。

──読売はこのままじゃまずいとわかりながら変われない印象です。

新聞の専売店数が日経の約150に対し約3900でデジタルに舵を切りにくい。

編集権の独立を理由に、新聞社の株式譲渡を制限できる日刊新聞法も実は変化を妨げている。

これでは市場からのチェックが利きにくい。ニューヨーク・タイムズ(NYT)がデジタルシフトできたのもワシントン・ポストがベゾスに身売りしたのも、株式を上場していて、経営が市場の評価にさらされていたから。

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