桜を見る会中止、安倍首相「逃げ恥作戦」の成否 一強政権に追い打ち、浮上する年明け解散説

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今回の2閣僚辞任と同様、2014年10月には政治とカネや公選法違反疑惑などで小渕優子経済産業相と松島みどり法相がダブル辞任に追い込まれた。その際、小渕氏は大型バスによる地元有権者の観劇ツアーの一部経費を負担していたことなどが公選法違反に問われ、司法当局の捜査を受け、政権への大きな打撃となった。

ただ、消費税先送りを大義名分として断行した2014年12月の衆院選で圧勝し、その後の1強政権の確立につなげた。2017年前半に相次いで浮上した森友・加計学園疑惑も、同年10月の衆院選での自民圧勝で乗り越えている。

今回も永田町では年末・年始の解散説が流布されており、自らの発言で事態を深刻化させた二階幹事長は13日の自民党会合で、「近いうちに選挙をやろうというときに、もうちょっと気合掛けなきゃだめじゃないか」と発言してみせた。

補正予算処理後の年明け解散説も

政府与党にとって、今国会で審議が遅れている日米新貿易協定の承認が最優先の課題だ。さらに、安倍首相は大規模な台風災害に対応するための大型補正予算を来年度予算とともに年内に編成する方針を打ち出したばかりで、日程的に年内解散はありえそうもない。

ただ、与党内には「年明けの通常国会冒頭で補正予算を処理したら解散」(自民幹部)との声もあり、「1月下旬解散―2月16日投開票」という具体的日程も取り沙汰されている。

そうした中、与党内では「もう少しで『桜を見る会』が(流行語大賞の)候補になるところだった」との声も出る。今回の首相らの対応を「逃げ恥作戦」と揶揄する向きがあるが、その元ネタはちょうど3年前に大ヒットしたテレビドラマの題名で、当時「逃げ恥」は流行語大賞の有力候補ともされた。

「在庫一掃閉店大セール」と酷評された第4次安倍再改造内閣では、目玉閣僚の小泉進次郎環境相が人気急落の憂き目に遭っている。その父親で安倍首相の政界の師でもある小泉純一郎元首相は常々「人生には3つの坂がある。『のぼり坂』『くだり坂』そして『まさか』である」と周囲を煙に巻いてきた。

11月20日に史上最長政権という勲章を手中にする首相だが、党内では「これが安倍政権の頂点。あとは坂を下るだけ」と皮肉る声も少なくない。

今回の逃げ恥作戦が通用するかどうかはまだまだ不明だが、党内では「『まさか』の年明け解散の先にあるのは、政権の『真っ逆さまの急降下』では」との厳しい声が広がっている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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