地方活性化の新規事業が大失敗する3つの要因 栃木・塩谷町は1億円売上計画で実績7万円!

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こうした「無理筋を入れ込んだ3つの要素」について、1つひとつ見ていきましょう。

まずは、独自性や新規性の矛盾が露呈することです。あまりに無理な絵を描いた結果、まちビジネスを手がけているわれわれのもとに「予算が採択されたけれども、この後どうやっていいかわからないから、教えてほしい」といったような、こちらが困惑する問い合わせが来たりします。

もちろん、そんな依頼はとても引き受けられないわけですが、そもそも「自分たちの計画が実現可能であるかどうか」を無視して、筋書きを書いてしまったからこそ、採択後に苦しんでしまうわけです。

次は、劣勢をひっくり返そうと「起死回生の絵」を書いてしまうことですが、これも「一発逆転、地域活性化の起爆剤になる事業」などというものは、存在しないのです。地域の変化は一気に大きく起きるのではなく、小さく始めたものがさまざまな形で連鎖し、長期に渡って継続しているうちに「気がついたら地域が変わっていた」、という波及型であり、それは「非計画的に起きる現象」なのです。

つまり、最初から筋書きなどは書けなくて、1つひとつやりながら修正をかけているうちに初めて「正しい道のり」が見えてくるのです。最初から神様のように計画を立てて、「これで地域が変わる」などというのは、事業計画そのものがうそなのです。

さらに、3つめの「地域が一丸となってまとまれば、まち全体が変わる」という話も、まことしやかにする人がたくさんいますが、これも大いなる勘違いです。わたしたちはこの分野で20年近く取り組んでいますが、地域が一丸となって取り組んで成功したなどというケースは、1つも見たことはありません。一方で、多くの人を巻き込みすぎて「船頭多くして船、山に登る」の世界で破綻した計画は、あまたあります。

最初から「失敗しそう」とわかっていても修正しないワケ

地域の取り組みというものは、地域で際立った成果を上げれば、「あいつだけ目立ちやがって」と文句を言われたり、「あそこの団体がやるなら、俺は出ない」とへそを曲げたりするのが現実です。多くの人を巻き込めば巻きこむほど、何をやるのにも反対が出て、成功しても、失敗しても、100%もめます。

何より、たくさんの人が参加する協議会などでは、ほとんどすべての人が「他の誰かがやってくれるだろう」などと思っていて、「自分がやろう」など思っていません。

大抵の計画は、スタートしてもまったく進捗せず、このままいけば失敗することは早期にわかりますが「失敗しそうです」、という報告は誰もしません。当たり前ですが、予算が採択され、事業を進めている以上は、失敗を認めたら、その時点で、その後の予算が下りないかもしれないからです。

予算というのは、事後精算であることが多くあり、最初から「失敗しそうです」なんて言っていたら、採択されたはずの計画が中止され、当初に下りた予算が支払われないかもしれないからです。これは行政だけでなく、民間受託者にとっても受け入れがたいわけです。

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