今すぐ読んでもらう必要のない年金改革の話 言ってどうなるものでもない世界はある
厚生年金の適用拡大に反対する人たちに突然神風が吹き始め、将来の高齢貧困者の醸成を確実にする政策が決められる。先に、将来の生活保護費の話をしたが、本当はその前に、厚生年金から適用を排除された人たちの人生はどうなるのか。
将来のために
2001年に、私が初めて出した本の冒頭に「政策は、所詮、力が作るのであって正しさが作るのではない」と書いていた。適用拡大問題は、まさにそれを知るのに適した事例であり続けてきた。だからこそ、皆、周到な準備を進めてきたのである。ところが、ここに来て突然、彼らをさえぎる会議=全世代型社会保障検討会議が立ち上げられることになる。
『中央公論』2019年11月号には、元年金局長である香取照幸氏(現アゼルバイジャン大使)と私の往復書簡を掲載されている。その中の私の一文である。
従業員50人超ならばと口にする者も出てきたようだが、その水準で決まったら、次へ進むことは、この国ではあきらめなければならず、相当数の高齢貧困層は固定することになろう。
言ってどうなるものでもないという世界はある。だが、何年か先に問題が顕在化したとき、誰に責任を求めればいいのかと、今の若い人たちが思う日が来るだろう。そのときのために、この文章を書き残しておく。
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