Facebook「利用者24億人を超えた」スゴい仕組み なぜ大学生専用SNSが世界一になれたのか

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こうして、フェイスブックは存在感を高めていった。もともと各地にあるローカルのSNSや普及しているSNSをすべて駆逐するように広がってきたわけで、日本でもそれが成功したと言うことができる。

海外の人が使っている、自分の身の回りの人が使い始めたといった蓄積が、ある日臨界点を超え一挙に普及していくのだ。まさにネットワーク効果の勝利である。意識高い系の大学生が使うところから始まったこのSNSは、現在では世界中で24億人のMAU(Monthly Active Users・月当たりのアクティブユーザー数)を抱えるまでになった。

ここで大事な概念「ネットワーク効果」について説明しておこう。ネットワーク効果とは、そのモノやサービスの価値が、それを利用するユーザーの数に依存して増えたり減ったりすることを指す。より多くの人々が使ってネットワークが広がればその価値は高まるし、ネットワーク内の人だけでなくネットワークの外部にいる第三者にとっての価値も高めるという意味から、ネットワーク外部性と呼ぶこともある。

例えば自宅の冷蔵庫は家族の誰が使っていようが関係なく、自分自身にとっての使い心地のみがその価値を決めるが、電話は自分だけが持っていてもまったく価値がなく、多くの人とコンタクトできるというネットワークの広さが価値となる。

SNSもまさにそのようなものだ。したがって、ユーザーが多ければ多いほど、さらにユーザーが多くなるという循環性を持つ。このネットワーク効果こそ、SNSの普及を考えるうえで非常に大切な考え方だ。

6ステップで誰とでも友達になれる

1点、それに関連する概念を導入しよう。「六次の隔たり(Six Degrees of Separation)」という仮説は、世界中の人々のつながりを1つのネットワークと見立てたとき、誰から出発したとしても、任意の誰かまで6ステップ以内でつながることができるというものだ。

『SNS変遷史 「いいね!」でつながる社会のゆくえ』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

筆者と読者であるあなたはもちろん、あなたと世界のどこかにいる誰かまで、友達の友達の友達の友達の友達の友達という範囲に収まってしまうという恐るべきものだ。

心理学者のスタンレー・ミルグラムなどがその提唱者として有名で、オンライン上での追試でも実証された。重要なことは、こうした見方が支持されること自体が、世界がつながり合うことへのポジティブな見方に裏付けられているということだ。

「六次の隔たり」は世界が実は思ったよりも小さいという実感から、スモール・ワールド現象という言い方もなされる。詳述は避けるが、なぜこんな「近い」のかについては、さまざまな人間関係をつなぎショートカットさせるためのハブ(つながりの中心)になるような人が、大きな役割を果たしていることが証明されている。

天野 彬 電通メディアイノベーションラボ主任研究員

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あまの あきら / Akira Amano

1986年生まれ。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。若年層のメディア行動やSNSの動向に関する研究/執筆/コンサルティングを専門とする。経済番組でのコメンテーターや各種講演でのスピーカーなど経験多数。著書に、『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』(2017年、宣伝会議)、『情報メディア白書』(2016~2019年版、共著、ダイヤモンド社)がある。Twitter: @akira_amano

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