ニコン、カメラの「赤字転落」危機で迎える難路 新ジャンル「工作機械」進出に不安の声も
日本のデジタルカメラの出荷台数は2010年の1億2146万台をピークに、2018年には1942万台と、ピーク時の約10分の1となった(カメラ映像機器工業会)。ニコン最大のライバルで業界最大手のキヤノンも、2019年12月期の業績予想は3回も下方修正している。
【2019年11月8日13時45分追記】初出時の出荷台数に関する表記を上記のように修正いたします。
縮小基調にあるカメラ市場にあって、数少ない販売好調な製品がミラーレスカメラだ。ニコンやキヤノンがこれまで強みとしてきた一眼レフカメラと異なり、小型化・軽量化が可能なことが消費者の支持につながっている。実際、2018年の世界出荷台数は一眼レフが前年比約16%減の622万台と減少傾向にあるのに対し、ミラーレスは同約3%増の428万台と増勢にある(テクノ・システム・リサーチ調べ)。
ミラーレスで大きく出遅れたニコン
ただ、ニコンはミラーレスカメラの進出で出遅れてしまった。現在、ミラーレスカメラのシェア1位であるソニーは、高級機種であるフルサイズミラーレスを2013年に発売した。ニコンは2011年に同社初のミラーレスカメラ「Nikon 1」を発売したが、販売不振と主力の一眼レフの販売に影響を与えかねないことを懸念し、2015年以降はミラーレスの新製品投入をとめた。2018年9月に40万円台の高級機種「Z7」を投入して再参入したが、時はすでに遅かった。
ミラーレス市場でトップのソニーのシェアは約42.5%に達するのに対し、ニコンは4.6%に過ぎない(2018年、テクノ・システム・リサーチ調べ)。ニコンの池上博敬・映像事業部長は「プロから高い評価はもらっているとともに、シェアも着実に増えている」と説明するが、7日の決算説明会ではカメラの品質に関する質問も飛び出した。
デジカメ市場に詳しいあるアナリストは「早くからフルサイズミラーレスを強化してきたソニーに技術的な優位性があるのは明らか」と指摘する。
さらに、2018年まで販売台数が拡大し続けてきたミラーレスカメラ市場も、今年は前年比で減少する可能性も出てきている。仮にニコンがうまくミラーレスシフトを進めたとしても、楽観できるわけではない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら