大都市圏の満員通勤電車、東京圏の通勤事情緩和へ国は新たな制度設計を

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 ただ、これでは通勤・通学者の悩みはなくならない。最近話題になっている痴漢冤罪事件をなくすためにも満員電車をなくすことは必要だ。

そのためには、新たな制度設計が必要だ。まず考えられるのがピークロードプライシングである。通勤ラッシュ時の運賃を従来より上げ(イメージとして1・5倍から2倍)、一方で、閑散時の運賃を下げる運賃体系である。全体として鉄道会社の収入を増やし、設備投資を義務づける。設備投資をする鉄道会社には減税で支援することも必要だろう。自動改札機やICカード乗車券(スイカ、パスモ)の普及で、ピークロードプライシングの技術的障害はなくなっている。

次に考えられる制度は上下分離方式である。

これは線路など輸送のインフラ部分(下)を国や地方自治体の資金で建設し、列車の運行(上)を鉄道会社が行う方式である。鉄道会社はインフラ部分の利用料を払う。日本や海外でもいくつか実例がある。これ以外にもいろいろな制度設計が考えられるだろう。国は知恵を絞ってほしい。

民主党は非効率な「道路、空港、治山治水、箱モノ」公共投資の見直しに躍起になっている。だが、景気の先行きは不透明だ。いずれ本格的な内需拡大政策を迫られる時期が来るだろう。そのとき東京圏の都市鉄道をメニューに入れて、「暮らしのための政治」を実現してほしい。

(内田通夫 =週刊東洋経済)

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