萩生田文科相「身の丈」発言が問題視された背景

そもそもなぜ「教育改革」が日本に必要なのか

4技能を測るために下に掲げた民間試験の導入を行うのだが、民間試験の成績はどういった仕組みで受験する大学に通知され、また大学はどのように利用するはずだったのだろう。まずは予定されていた民間試験の具体例を見てみよう。

<大学入学共通テストで利用される予定だった民間試験の例>
・日本英語検定協会/英検、TEAP、TEAP CBT
・ベネッセコーポレーション/GTEC CBT
・ETS/TOEFL iBT
・ブリティッシュ・カウンシル、IDP/IELTS
・ケンブリッジ大学英語検定機構/ケンブリッジ英語検定

大学入学共通テストの枠組みにおける英語認定試験及び記述式問題の活用に関するガイドライン」によると、「認定試験結果の活用については、各大学・学部等の方針に基づき、次の方法のいずれか、または双方を組み合わせて活用することを基本とする」としている。

一定水準以上の認定試験の結果を出願資格とするか、CEFR(※)による対照表に基づき、大学入学共通テストの英語試験の得点に加点するかのどちらかもしくは組み合わせることも可能だ。また、CEFRによる対照表に基づき加点する点数等の具体的な設定については、各大学の学部等が主体的に定められるとしている。

CEFR:語学シラバスやカリキュラムの手引きの作成、学習指導教材の編集、外国語運用能力の評価のために、透明性が高く、わかりやすい、包括的な基盤を提供するものとして2001年に欧州評議会が発表したもの。

このように共通テストで資格・検定試験を活用するために、独立行政法人大学入試センターが大学入試英語成績提供システムを設けて管理するという予定になっていた。

つまり資格・検定試験の成績は大学入試センターが集約・管理し、各大学へ成績を提供するという仕組みだ。また、大学入学共通テストを利用しない選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜でもその成績を利用することは可能であり、このシステムを利用するかどうかは大学の判断に任されていた。

日本の教育改革は避けられない

しかしこのシステムも、今回の利用延期に伴い、延期となることだろう。今回、共通テスト・英語民間試験の導入で、国公立大学・私立大学とも、英語入試を変更する大学が多かった。10月25日の文部科学省発表時点では、大学・短大合わせて629校、全体の58.9%がこのシステムの利用を表明していたのである。

今回の騒動は、教育改革の中の大学入試改革、さらにその一翼を担う英語改革を実施するための通過地点であろう。こうやって国民を巻き込んで、日本の将来を担う人材を育てるためには何が最善か、それを考えていくことはとても重要だと考える。

筆者は、英語の4技能を測ることそのものを否定するつもりはない。ただ、受験生に経済的な負担をかけずに、公平に受験できるシステムをつくることが先決だ。先送りされた今の高2生が混乱することなく、2020年度の入試が円滑に行われてほしいと願うばかりだ。

(編集協力:株式会社バーネット)

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