もはや”一大文化”。インスタグラムが熱い フェイスブック傘下の写真共有サービス

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米英では、報道機関も活用するようになった。CNBCは、ニュース映像や音声を15秒の動画として公開したり、インタビューの現場からの様子を投稿するなど、テレビ視聴の宣伝やニュースの現場からの写真を届けている。BBCも映像ニュースを15秒単位で投稿している。

また北カリフォルニアのベイエリアのローカルニュース局などでは、インスタグラムに投稿されたニュースに関連する写真を引用して紹介するパターンも増えており、現場の様子をすぐに写真や映像で知る手段としてインスタグラムを活用するようになった。フォーマットがそろっている点と、位置情報が付与されていることから、活用しやすい素材になっているものとみられる。 

広告・ビジネス活用と、文化としてのインスタグラム

インスタグラムはフェイスブックに買収されて以降も、当初から無料で利用できる仕組みを貫いてきた。個人も企業も区別なく、同じ正方形の写真とフィルター、そして15秒の動画というフォーマットの中で表現を行っており、このシンプルさがスマートフォンと写真の関係性を新たに定義し文化となっている。

2013年12月に、インスタグラムダイレクトと呼ばれる、ユーザー同士でプライベートに写真を送り合うことができる仕組みをアプリに組み込んだ。公開しない写真の共有というコミュニケーションは、フェイスブックやツイッターでは実現しておらず、スナップチャットによって人気を博している機能。これを取り込むことで、コミュニケーションツールとしての側面を作り出そうとしている。

また、インスタグラムとしてのビジネスを開始している点にも注目だ。2013年10月には広告モデルを導入した。ジーンズを中心としたサンフランシスコのファッションブランド、リーバイスが2013年11月にインスタグラムの広告を活用し、18歳から34歳の若年層に対して9日間で740万人にリーチするなど、写真と若者というターゲットに対する有効な広告手段としての成果を上げた。

コミュニケーションとビジネスが、まったく同じフォーマットで展開されることに対しては、フェイスブックやツイッターのタイムライン上での広告を邪魔に感じる例があるように、ユーザーからあまりよく思われない向きもある。しかし写真は、たとえ広告であっても直感的に「いいな」と思えるものから発想を得ることもできるし、できればいい写真をずっと見ていたいという感覚にもなる。

企業が投稿する写真であっても、「作品」というカテゴリに属する表現へと加工してくれるインスタグラムは、ほかのソーシャルメディアとは異なるポジションを保ち続けてくれるだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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