「業務時間中でも酒を飲む」アメリカ人の言い分 「飲みニケーション」の印象悪い日本との大差

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基本的にアメリカ企業は、多種多様な人種やさまざまなバックグラウンドを持つ人たちが同じ場所で働くことが前提になっている。そのため、お互いに、一緒に仕事をする仲間の人となりを理解しようと、積極的に相手とコミュニケーションを取ろうとする。相手や、その状況によっては、一緒に飲むことが有効な手段になるケースも少なくない。

それこそ、仕事の話からいったん離れ、趣味から最近あったことなどをいろいろと話し、相手との距離を少しずつ縮めていきながら、最終的にお互いに仕事をスムースに進めていくような関係を作っていくところは、日本の「飲みニケーション」と似ている。

実際、アメリカ企業に勤めるとよくわかるが、こういった関係性を持っている相手と仕事をするときと、そうでないときとでは、仕事の進み方に明らかに差が出てくる。

日本は「飲み会以外」の交流手段がない

ただ「飲み会」に限らず、仕事をうまく進めるためのコミュニケーションを取る場が、さまざまな形で存在しているのが、日本と大きく違う点だ。いわば「飲み会」は、数多く存在する選択肢の1つでしかなく、そのほかの選択肢も積極的に活用していくことが求められている。

それこそ、日頃のおしゃべりや、会社で行われるイベント、そしてランチなどは、非常によく使われる。また、ボランティア活動などを共にするようなケースもある。

アメリカ企業で働くにあたって「仕事がしやすくなる」状況を作るために、「飲みニケーション」も含め、相手を知るためのコミュニケーションはとても重要なことだ。相手のことをきちんと知るからこそ、その個性を認めることができるし、深く入りしすぎず「適度な距離感」を保ちながら仕事ができるようになる。

「飲みニケーション」が日本企業の悪しき慣習になってしまったのは、「飲み会」以外にコミュニケーションを取る選択肢を積極的に作ってこなかったこと、そして「適度な距離感」という意識が、そこになかったことによると思うのだ。

熊村 剛輔 セールスフォース・ジャパン DX ビジネスコンサルティング ディレクター

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くまむら ごうすけ / Gosuke Kumamura

1974年生まれ。プロミュージシャンからエンジニア、プロダクトマネージャー、オンライン媒体編集長などを経て、大手ソフトウエア企業のウェブサイト統括とソーシャルメディアマーケティング戦略をリード。その後広報代理店のリードデジタルストラテジストおよびアパレルブランドにおいて日本・韓国のデジタルマーケティングを統括後、クラウドサービスベンダーにてエバンジェリストとなり現在に至る。

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